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 交通事故では転倒時等に頭部や首などに大きな外力が加わって頚椎を骨折してしまい、痛みや可動域制限等の後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは頚椎圧迫骨折の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.頚椎圧迫骨折の概要

 頚椎圧迫骨折は頭頂部に衝撃が加わって頚椎が過屈曲し、圧迫力により頚椎の前方部で骨折が生じます。そして椎体は楔状変形をきたします。

 

2.頚椎圧迫骨折の治療

 損傷を受けた頚椎が安定性か不安定性かで治療法は違っています。

 軽度の圧迫骨折は安定型損傷とされ、一般的には保存療法−頭蓋牽引と頚椎装具の装着−がとられます。

  一方、不安定型損傷と判断された場合には、原則として観血的治療がとられます。 

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 頚椎圧迫骨折による障害に関する認定基準は、下記のとおりです。

◇脊柱の変形又は運動障害

◇脊髄の障害

◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)

◇関節機能障害の評価方法

◇参考可動域角度

 

(2)認定される等級

 圧迫骨折がエックス線写真等で確認できる場合は、脊柱の変形障害として11級以上の等級が認定されます。圧迫骨折により頚部の可動域が参考可動域の1/2以下に制限されたときには、脊柱の運動障害として8級が認定されます。

 脊髄損傷による麻痺等を伴う場合は、神経系統の障害として総合的に評価され9級以上の等級が認定されます。

 

【参考ホームページ】

◇脊椎椎体圧迫骨折(日本整形外科学会) 

【関連ページ】

◇後遺障害等級認定のポイント

◇治療先と後遺障害等級認定 

◇骨折の基礎知識

◇装具の基礎知識

 交通事故では衝突時や転倒時などに大腿骨を骨折してしまうことがあります。

 大腿骨の骨折は、骨折した部位などにより、大腿骨頚部骨折、大腿骨骨幹部骨折などに分けられますが、ここでは大腿骨骨幹部骨折の概要を記載しています。

 

1.大腿骨骨幹部骨折の概要

 大腿骨骨幹部骨折は、ほとんどが直達外力によって生じるとされています。骨片は筋肉のはたらきにより転位してしまい、成人では特に筋力が強大なためこれらの転位を徒手や牽引にって整復することや、骨癒合まで整復位を保持することも困難であると言われています。このため手術療法が多くとられるとのことです。

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◇大腿骨の図・説明(weblio辞書) 

 

2.大腿骨骨幹部骨折の治療

 成人の大腿骨骨幹部骨折の場合は、上記のとおり手術療法が多くとられ、キュンチャー髄内釘やエンダー釘など強固な内固定が行われます。

 大腿骨骨幹部骨折の骨癒合には、通常10〜12週間かかると言われていますが、髄内釘手術後1週間で関節の自動運動が始められ、4週間後には松葉杖歩行、6週間後には体重負荷による歩行が可能になるとされています。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 大腿骨骨幹部骨折による障害に関する認定基準は、下記のとおりです。

◇下肢の欠損障害・機能障害

◇下肢の変形障害

◇下肢の短縮障害

◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)

 

(2)認定される等級

 大腿骨骨幹部骨折により一定の変形障害が残った場合には、12級以上の等級が認定されます。

 変形障害が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。    

 

(3)参考事例 

大腿骨骨折・下腿開放骨折・足関節骨折等後の関節機能障害等について自賠責併合8級が認定された事例

右大腿骨骨幹部骨折等後の右下肢痛について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

 

【関連ページ】

◇骨折の基礎知識

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 交通事故では転倒して膝を強打するなどして、膝蓋骨を骨折してしまい、場合によっては膝関節の可動域制限や膝の痛みといった後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは膝蓋骨骨折の概要、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.膝蓋骨骨折の概要

 膝蓋骨は、大腿四頭筋腱の間に埋まっているため、直達外力によるものは不規則な星状骨折(粉砕骨折)線が入ります。

 膝が急激に屈曲され、反作用として大腿四頭筋の急激に緊張することで生じる介達外力によるものは、横に骨折線が走るもの、膝蓋靭帯の断裂を起こして分離するものなどさまざまあります。 

 直達と介達の両方の外力がともに加わった場合には、分離と複雑な骨折線が生じます。

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◇膝蓋骨の図・説明(weblio辞書) 

◇膝関節の図・説明(weblio辞書) 

 

2.膝蓋骨骨折の治療

 膝蓋骨骨折の治療は、骨が縦に折れている場合には手術が不要な場合が多いとされていますが、横に折れている場合などには手術が必要とされています。 

 手術は、tension band wiring(鋼線締結法)が行われることが多いとされています。

 手術後は膝を軽度に屈曲した位置でギプス固定し、約1週間後から関節運動と筋力訓練を開始します。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 膝蓋骨骨折に関する後遺障害の認定基準は、下記のとおりです。

◇下肢の欠損障害・機能障害

◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)

 

(2)認定される等級

 膝蓋骨骨折後に膝関節に一定の可動域制限(健側の3/4以上制限)が残った場合には、12級以上の等級が認定されます。

 可動域制限が一定の要件を満たしていない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。    

 

【関連ページ】

◇損害保険料率算出機構とは

◇後遺障害等級認定のポイント

◇交通外傷の基礎知識 

◇治療先と後遺障害等級認定 

【関連情報・コラム】

◇骨折の基礎知識

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 交通事故では転倒時に足首に大きな外力が加わることなどによって、足関節を骨折してしまい、場合によっては、関節可動域制限等の後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは足関節の骨折(足関節果部骨折)の概要、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.足関節の骨折(足関節果部骨折)の概要

 転倒のときなど足関節に過大な外力が加わった場合に、内果(脛骨)、外果(腓骨)もしくは両果部に骨折が生じます。

 足関節が強く内転した場合には、内果は距骨に突き上げられてほぼ垂直方向に骨折し、外果は距骨に引かれて剥離骨折を起こすことがあります(内転骨折)。反対に、足関節が強く外転した場合には、外果は距骨に突き上げられて骨折し、内果は剥離骨折を起こすことがあります(外転骨折)。

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 ◇足関節の図・説明(weblio辞書) 

 ◇足関節果部骨折の説明(日本整形外科学会)  

 

2.足関節の骨折(足関節果部骨折)の治療

 足関節果部骨折の治療は、転位のない場合には保存療法(徒手整復とギプス固定)がとられますが、多くの場合は観血的整復固定術を行う必要があるとされています。

 手術後は内固定による固定性が十分であれば2〜3週間後にギプスシーネ固定とし、1日数回外固定をはずして足関節の自動運動を行います。外固定は6〜8週間行い、完全に治癒するには8〜12週間かかると言われています。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 足関節骨折に関する後遺障害の認定基準は、下記のとおりです。

◇下肢の欠損障害・機能障害

◇下肢の変形障害

◇下肢の短縮障害

◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)

 

(2)認定される等級

 足関節の骨折後に一定の関節可動域制限(健側の3/4以上制限)が残った場合には、12級以上の等級が認定されます。

 一定の関節可動域制限が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。 

 

(3)関連事例

脛腓骨骨幹部粉砕骨折・足関節外果骨折・CRPS等による可動域制限・痛み・痺れ等について自賠責後遺障害併合6級が認定された事例

大腿骨骨折・下腿開放骨折・足関節骨折等後の関節機能障害等について自賠責後遺障害併合8級が認定された事例

下肢デグロービング損傷後の足関節可動域制限・抑うつ等について労災障害等級7級に変更された事例(審査請求)

下肢デグロービング損傷後の足関節可動域制限・抑うつ等について障害年金非該当から3級に変更された事例(審査請求)

 

【関連ページ】

◇後遺障害等級認定のポイント

◇損害保険料率算出機構とは

◇交通外傷の基礎知識 

◇治療先と後遺障害等級認定 

【関連情報・コラム】

◇骨折の基礎知識

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 交通事故では転倒時等に胸腰椎部に大きな外力が加わって胸椎・腰椎を骨折してしまい、痛みや可動域制限等の後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは胸椎・腰椎圧迫骨折の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.胸椎・腰椎圧迫骨折の概要

 胸腰椎部は脊椎損傷のなかで最も高い頻度で生じる部位といわれています(特にT11〜L2)。

 胸椎・腰椎圧迫骨折は、胸腰椎部に衝撃が加わって過屈曲し、胸椎・腰椎の前方部で骨折が生じます。そして椎体は楔状変形をきたします。

 

2.胸椎・腰椎圧迫骨折の治療

 損傷を受けた胸腰椎が安定性か不安定性かで治療法は違っています。

 軽度の圧迫骨折は安定型損傷とされ、一般的には保存療法がとられます。体部を反張して骨折部を整復し、ギプス固定または体幹装具による固定が3ヶ月ほど行われます。

 不安定型損傷と判断された場合には、原則として観血的治療がとられます。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 胸椎・腰椎圧迫骨折による障害に関する認定基準は、下記のとおりです。

◇脊柱の変形又は運動障害

◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)

◇関節機能障害の評価方法

◇参考可動域角度

 

(2)認定される等級

 圧迫骨折がエックス線写真等で確認できる場合、自賠責保険では脊柱の変形障害として11級以上の等級が認定されます。圧迫骨折により胸腰部の可動域が参考可動域の1/2以下に制限された場合は、脊柱の運動障害として8級が認定されます。

 

(3)参考事例

第一腰椎圧迫骨折による腰痛について自賠責後遺障害11級7号が認定された事例

腰部挫傷後の椎間板後方固定術による変形障害について自賠責後遺障害11級7号が認定された事例

 

【参考ホームページ】

◇脊椎椎体圧迫骨折(日本整形外科学会) 

【関連ページ】

◇損害保険料率算出機構とは

◇後遺障害等級認定のポイント

◇交通外傷の基礎知識 

◇治療先と後遺障害等級認定

◇骨折の基礎知識

◇装具の基礎知識

◇医師の診断と自賠責保険の後遺障害認定とのギャップについて

 交通事故では主に転倒して手をついたときに舟状骨を骨折し、痛みや変形等の後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは舟状骨骨折の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.舟状骨骨折の概要

 舟状骨骨折は転倒して手をついたときなど、比較的強い外力で手関節の背屈が強制されて発生します。

 舟状骨骨折は診断が難しく、また、偽関節になりやすいと言われています。しかし、受傷直後に舟状骨骨折と診断されて継続的にギプスなどで外固定を受けた場合には、ほとんどが骨癒合するとされています。

 症状は、いわゆる「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」の部分の腫脹と圧痛が特徴的といわれています。

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◇舟状骨の図・説明(weblio辞書) 

 

2.舟状骨骨折の治療

 治療は安定型と不安定型に分類して行われます。

 安定型は基本的に骨折線がみえるが転位のないものが該当します。安定型の治療は原則として外固定とされていますが、外固定期間の短縮を目的としたHerbert screwなどによる内固定も普及してきています。

 不安定型は単純X線写真で明らかな骨皮質のずれがあるもの、明らかに背側凸変形を示しているものが該当します。不安定型の治療はHerbert screwなどによる内固定が行われます。

 

3.後遺障害等級との関係

 舟状骨骨折後に痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。   

◇むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント 

 

【関連ページ】

◇損害保険料率算出機構とは 

◇後遺障害等級認定のポイント 

◇交通外傷の基礎知識 

◇治療先と後遺障害等級認定 

◇骨折の基礎知識

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 交通事故では後頭部に大きな衝撃が加わり、環軸椎が脱臼して痛みや可動域制限などの後遺症が残ってしまうことがあります。

 ここでは環軸椎脱臼の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.環軸椎脱臼の概要

 一般的には、後頭部に衝撃的過屈曲力が加わり前方に脱臼しますが、牽引力により後方に脱臼することもまれにあるとされます。環軸横靭帯などの靭帯損傷、歯突起骨折により生じることがあります。

 環椎歯突起間距離(ADI)が成人で3mm以上、小児で4mm以上であれば本脱臼が疑われます。

  

2.治療方法

 一般に、ADIが5mm以上で観血的治療の適応とされています。整復性の脱臼では環軸椎後方固定術が、非整復性の脱臼では後方からの環椎後弓切除術・後頭骨頚椎固定術あるいは前方からの経口的歯突起切除・環軸椎固定術が行われます。

 

3.後遺障害等級との関係 

 環軸椎脱臼により頚部に著しい異常可動性が生じたときなどには、脊柱の運動障害として8級以上の等級が認定されます。また、痛みのみが残ったときには12級もしくは14級が認定されます。

 ◇脊柱の変形又は運動障害の後遺障害等級

 ◇関節機能障害の評価方法

 ◇参考可動域角度

【関連ページ】

◇損害保険料率算出機構とは

◇後遺障害等級認定のポイント

◇交通外傷の基礎知識 

◇治療先と後遺障害等級認定 

◇骨折の基礎知識

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 交通事故ではバイクや自転車に乗った方などが転倒したときなどに末節骨を骨折し、可動域制限、変形や痛み等の後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは末節骨骨折の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.末節骨骨折の概要

(1)末節骨基部関節面陥没骨折

 背側脱臼骨折に伴うものが多いですが、脱臼のない例もあり、末節骨の正確なX線写真2方向像が撮影されないと見逃されやすいとされます。

 新鮮外傷の場合、末節骨末梢より導入したキルシュナー鋼線で経骨髄的に整復可能です。

 

(2)末節骨骨幹部骨折

 骨幹部近位部での骨折では、爪甲に損傷・脱臼がない場合には、外部からの衝撃を予防する目的の外固定のみで十分なことが多いとされます。爪根が脱臼している場合には、脱臼した爪根を洗浄のあとにエレバトリウムなどを用いて整復し、爪甲を爪郭に縫着するSchiller法の成績が安定しているとされます。爪甲が欠損している末節骨骨折ではピンニングが行われます。 

 

(3)末節骨膨大部の骨折

 末節骨には末梢端に膨大部があり、この部分を強く圧挫されると膨大部の花冠状骨折が生じます。花冠状骨折は癒合が得られないことが多いですが、爪甲まで健常あるいは再生すれば偽関節のままでも問題ないとされています。

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◇末節骨の図・説明(weblio辞書)

 

2.後遺障害等級との関係

 末節骨骨折後に可動域制限が残った場合には、14級以上の等級が認定されることがあります。また、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。   

◇むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント 

◇手指の欠損又は機能障害の後遺障害等級

 

【関連ページ】

◇損害保険料率算出機構とは 

◇後遺障害等級認定のポイント 

◇交通外傷の基礎知識 

◇治療先と後遺障害等級認定  

【関連情報・コラム】

◇骨折の基礎知識

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 交通事故では主に転倒して手をついたときに有鉤骨を骨折し、痛み等の後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは有鉤骨骨折の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.有鉤骨骨折の概要

 有鉤骨骨折は転倒して手をついたときなど、手根部の横アーチに強い緊張がかかって発生します。

 有鉤骨骨折は長期間診断されず、偽関節になることもあると言われています。有鉤骨鉤の単純撮影による描出法、CTで明らかに鋭利な骨折線が見られる場合に診断されます。

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◇有鉤骨の説明(weblio辞書) 

 

2.有鉤骨骨折の治療

 受傷直後に診断された場合で転位が少ない場合には、6週間の前腕以下のギプス固定で癒合するといわれています。

 転位の大きい場合や早期復帰を希望する場合には、鉤の切除が行われます。切除を行った場合、1週間の外固定の後に手の使用を開始できますが、4〜6週間は手根部尺側に力をかけないようにとの指導がなされます。

 

3.後遺障害等級との関係

 有鉤骨骨折後に痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。   

◇むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント 

 

【関連ページ】

◇損害保険料率算出機構とは 

◇後遺障害等級認定のポイント 

◇交通外傷の基礎知識 

◇治療先と後遺障害等級認定 

◇骨折の基礎知識

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 交通事故では衝突時や転倒時等に、中足骨を骨折してしまい、痛み等の後遺障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは問題となりやすい第5中足骨骨折の概要、治療、後遺障害等級との関係などについて記載しています。

 

1.第5中足骨骨折の概要

 第5中足骨骨折では特に結節部裂離骨折、Jones骨折、骨幹部疲労骨折が問題になるとされます。これらは近接した部位にみられるものの予後が大きく異なるため、鑑別が重視されています。

 診断はX線単純撮影(正面、斜位像)でなされます。疲労骨折では、骨透亮像、骨硬化像、偽関節様の変化が見られます。

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◇中足骨の図・説明(weblio辞書) 

 

2.第5中足骨骨折の治療

 結節部裂離骨折では、症状に応じて、弾力包帯や歩行靴型ギプスで骨癒合が得られます。Jones骨折では大多数で転位がなく、免荷膝下ギプスで骨癒合が得られます。ただし、どちらの骨折も、転位が大きい場合には観血的に整復固定が行われることがあります。

 骨幹部疲労骨折では観血的治療が一般的で、骨移植が必要になることもあります。

 

3.後遺障害等級との関係

 中足骨骨折後に一定の関節可動域制限が残った場合には、14級以上の等級が認定されます。

 一定の関節可動域制限が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。    

◇下肢の欠損障害・機能障害の後遺障害等級

◇むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント

 

【関連ページ】

◇損害保険料率算出機構とは

◇後遺障害等級認定のポイント

◇交通外傷の基礎知識 

◇治療先と後遺障害等級認定

【関連情報・コラム】

◇骨折の基礎知識

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

  交通事故では腕や足などを骨折してしまい、骨折した位置や折れ方、骨折の合併症の内容等によっては後遺障害が残ってしまうこともあります。

 ここでは、骨折の概要、分類、症状、治療方法などについて記載しています。

 

1.骨折とは

 骨折とは、骨がその組織的な連続性を断たれたものをいいます。骨が完全に折れたものだけでなく、海綿骨部分(骨の中のスポンジ状の部分)が折れて骨の外形にはまったく変化がないものも含まれます。

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2.骨折の分類

(1)原因による分類

 ①外傷性骨折:骨が外力によって折られるもの

 ②疲労骨折:わずかの外力が繰り返し同じ場所に加えられて骨折が生じるもの

 ③病的骨折:骨に病的変化があり、ごく軽度の外力もしくはほとんど外力の作用なしに生じる骨折(老人性骨粗しょう症など)

 ④骨挫傷:関節面に外力が加わり、MRIで骨髄内出血・微細な骨梁の連続性の破綻が現れるもの

 

(2)外力の働き方による分類

 ①直達性骨折:直接に外力が加えられた部位で折れるもの

 ②介達性骨折:外力が加えられた場所から離れたところで折れるもの

 

(3)程度による分類

 ①完全骨折:骨組織がその全周にわたって完全に断絶しているもの

 ②不完全骨折:骨組織の一部だけが断絶し、一部が連続性を保っているもの

 

(4)折れ方(骨折線)による分類

 ①横骨折 ②斜骨折 ③螺旋骨折 ④粉砕骨折 ⑤かん入骨折 ⑥剥離骨折 ⑦圧迫骨折

 

(5)骨が外気と触れているかどうかによる分類 

 ①閉鎖骨折:骨が外気と触れていない骨折

 ②開放骨折:骨が直接外気と触れている骨折

 

3.骨折の症状

(1)局所症状

 ①痛み(疼痛):骨折線に一致した鋭い圧痛(圧迫するとそこが痛むこと)が特徴。

 ②はれ(腫脹):受傷2〜3日後が最も著明。折れた部位によっては腫れが見えないことも。

 ③変形:屈曲、陥没、短縮など。

 ④異常可動性:本来動かない部分が動いてしまう現象。

 ⑤コツコツ音(軋轢音):異常可動性により、折れた部分が触れあって音を出すこと。

 ⑥機能障害:歩けない、物を持てないなどの障害。

 

(2)全身症状 

 ①発熱:通常高熱に至らず、遅くとも受傷から数日間で消失。

 ②ショック:顔面の蒼白、震え、脈拍が弱くなるなど。軽度の骨折では数時間で消失。

 

4.骨折の治療法

(1)保存療法

 ①整復

   整復とは、転位した骨を正常の位置に復させることをいいます。

   非観血的整復法(手術によらない)として徒手整復と牽引法(直達・介達牽引)に区分されます。

 ②外固定

  骨がつく(癒合する)ように、皮膚の外から固定する方法をいいます。

  包帯・絆創膏固定、副子固定、ギプス包帯固定などが挙げられます。

 

(2)手術療法

 ①観血的整復法

  徒手整復が困難な場合に、手術により切開して直接整復する方法をいいます。

 ②内固定

  骨がつく(癒合する)ように、金属などを使って骨折部を固定する方法をいいます。 

  プレート固定ねじ(スクリュー)固定髄内釘固定(キュンチャー釘、エンダー釘等)などが挙げられます。

 ③創外固定

  開放骨折で、創部に感染の危険が高い場合などに内固定に代えて行われ、骨折部の上下にピンを通し、創外で固定器に固定する方法です。 

 

5.骨折の治ゆ

(1)骨折の治ゆ過程

 骨折の治ゆ過程は、一般に次のような過程をとります。 

 ①血腫凝固期:出血、血腫、凝血

 ②肉芽形成期:線維芽細胞、肉芽組織の形成(1〜2週)

 ③仮骨形成期:骨芽細胞、結合織性仮骨、類骨組織、骨性仮骨の形成(3週)

 ④構造改変期:強固な骨への置換(4週〜)

 

(2)骨折の癒合日数

 骨折の癒合などにかかる日数は骨折した部位の状態や年齢、治療法などによって異なりますが、古くからおおよその目安として、Gurlt(グールト)の表やColdwell(コールドウェル)の表があります。

◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 

(3)骨折後の主な合併症・後遺症

 骨折後の主な合併症・後遺症として、関節拘縮関節強直癒合不全(遷延治癒、偽関節)、変形治癒、、脂肪塞栓症候群、感染(骨髄炎、破傷風など)、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、骨壊死、切断などが挙げられます。

 

【関連ページ】

◇後遺障害等級認定のポイント  

◇むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント

◇交通外傷の基礎知識

◇治療先と後遺障害等級認定

◇むち打ち症・骨折等の治療の基礎知識

◇筋肉に対する末梢神経の支配の基礎知識

 交通事故では、頭部に衝撃を受けて頭蓋骨が骨折し、同時に血管や神経も損傷を受け、さまざまな障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは、頭蓋骨骨折の分類、症状、治療、後遺障害等級との関係について記載しています。

 

1.頭蓋骨骨折の分類

  頭蓋骨骨折は、骨折の部位と形状、外界との交通の有無により、下記のとおり分類されます。

(1)骨折の部位による分類

 ①円蓋部骨折

     (a)前頭骨骨折、(b)側頭骨骨折、(c)頭頂骨骨折、(d)後頭骨骨折

 ②頭蓋底骨折

     (a)前頭蓋底骨折、(b)中頭蓋底骨折、(c)後頭蓋底骨折

 

(2)骨折の形状による分類

 ①線状骨折

 線状骨折はX線上黒色の線として写ります。単純な線状骨折だけの場合には、日常生活の注意をしていれば自然に治癒するといわれています。頭蓋底骨折はほとんどが線状骨折といわれています。

 ②縫合線離開

 頭蓋骨は複数の骨が縫合されて球形になっていますが、縫合部位が分離されてしまう骨折を言います。縫合部位がまだしっかり縫合されていない小児に多く見られる骨折です。

 ③陥没骨折

 陥没骨折は頭蓋骨円蓋部に見られ、脳の損傷や圧迫が問題となる骨折です。

 ④その他

 上記のほかに、星状骨折、環状骨折、粉砕骨折、貫通骨折などがあります。

 

(3)外界との交通の有無による分類  

 ①閉鎖性骨折

 ②開放性骨折

 

2.頭蓋骨骨折の症状

(1)出血

 頭蓋骨骨折では出血が起こり、出血がたまると血腫となります。血腫の場所が頭蓋骨の外の場合は、皮下血腫、帽状腱膜下血腫もしくは骨膜下血腫となり、頭蓋骨のすぐ内側の場合には硬膜外血腫となります。

 

(2)骨の変形

 陥没骨折、粉砕骨折が骨の変形の典型的な例です。

 

(3)痛み

 骨折部は腫れていることが多いため、自発痛や圧痛が見られます。 

 

(4)脳神経の障害

 脳からは12対の脳神経が出ていますが、頭蓋骨骨折にともない血管や脳神経が損傷されることがあります。損傷されやすい脳神経として、嗅神経、視神経、動眼神経、滑車神経、外転神経、顔面神経などが挙げられ、いったん損傷を受けるとほとんどが後遺症として残ってしまうといわれてます。

◇頭部・脳の構造

 

3.頭蓋骨骨折の治療

(1)線状骨折

 単純な線状骨折だけの場合には特別な治療は必要とされませんが、複雑な線状骨折の場合には、けいれん発作の予防や髄液の漏れを止めるために手術等が必要になることがあります。

 

(2)陥没骨折

  陥没骨折では程度が軽いものを除いて、ほとんどが手術が必要になります。

 

(3)頭蓋底骨折 

 頭蓋底骨折では頭部に大きな衝撃が加わっており、脳損傷(脳挫傷)が起こることが多いため、脳損傷の治療が最優先されます。

 

4.後遺障害等級との関係

(1)認定される等級

  残った障害の内容、程度によって等級は大きく変わってきます。脳挫傷を伴い記憶障害などの高次脳機能障害が残ったような場合は、基本的には9級以上の等級が認定されます。

 

(2)参考事例

脳挫傷による高次脳機能障害について自賠責後遺障害2級が認定された事例

外傷性くも膜下出血・脳挫傷等後の高次脳機能障害について自賠責後遺障害5級から3級に変更された事例

外傷性くも膜下出血・びまん性脳損傷等後の高次脳機能障害等について自賠責後遺障害併合4級が認定された事例

脳挫傷等による記憶障害・てんかん等の高次脳機能障害について自賠責後遺障害5級が認定された事例

脳損傷による高次脳機能障害・嗅覚障害等について自賠責後遺障害併合8級が認定された事例

脳挫傷・外傷性くも膜下出血等による高次脳機能障害・めまい・嗅覚障害等について自賠責後遺障害併合8級が認定された事例

脳挫傷による物忘れ・てんかん等の高次脳機能障害について自賠責後遺障害9級から7級に変更された事例

脳挫傷等による神経症状について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

 

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◇外傷性てんかんの基礎知識

 交通事故では衝突時や転倒時などに前腕骨(骨、尺骨)を骨折してしまうことがあります。

 前腕骨の骨折は、骨折した部位などにより、骨幹部骨折、モンテジア骨折、橈骨遠位端骨折(コーレス骨折、スミス骨折)などに分けられますが、ここではモンテジア骨折の概要を記載しています。

 

1.モンテジア骨折の概要

 モンテジア骨折とは、尺骨骨幹部骨折と橈骨頭の前方脱臼(解剖学的に正しくは腕橈関節の前方脱臼)を合併したものを言います。

 手をついて転倒し、前腕の回内力(手のひらを下にするような運動)が強く働いたときに、この骨折が生じやすいとされています。

 骨折に注意がいき、脱臼は見逃されやすいので、レントゲン写真での確認が必要とされています。

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◇橈骨の図・説明(weblio辞書) 

◇尺骨の図・説明(weblio辞書)

 

2.モンテジア骨折の治療

 モンテジア骨折では、観血的整復を必要とすることが多いとされています。

 成人では通常、尺骨骨幹部をプレートで正しい位置に保持する必要があり、ギプス固定を3週間ほど行います。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 モンテジア骨折に関する後遺障害の認定基準は、下記のとおりです。

◇上肢の欠損又は機能障害の後遺障害等級

◇上肢の変形障害(上腕骨又 は前腕骨)の後遺障害等級

◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)

 

(2)認定される等級

 橈骨・尺骨に一定の変形障害が残った場合には、8級(1上肢に偽関節を残すもの)もしくは12級(長管骨に変形を残すもの)の等級が認定されます。

 変形障害が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。 

 

(3)参考事例

上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例

左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例

橈骨頭骨折・肘骨折・踵骨骨折等による関節可動域制限・疼痛・CRPS等について障害年金2級が認定された事例

前腕不全切断後の手関節・手指関節可動域制限などについて労災障害等級6級が認定された事例

橈骨遠位端骨折後の痛み・痺れ等の症状について労災障害等級14級が認定された事例

 

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 交通事故によって骨盤を骨折してしまい、ときには骨盤の変形や神経損傷などの後遺障害が残ってしまうようなケースもあります。

 ここでは、骨盤骨折の概要、後遺障害等級との関係等について整理しています。

 

1.骨盤骨折の概要

 骨盤は、仙骨と寛骨という骨からなる環状構造をしており、下肢からの力を受け止めています。骨盤の骨折は、強大な外力が加わることによって発生しますので、出血性ショック、後腹膜血腫、骨盤内の臓器の損傷などの合併損傷を伴うことも多いとされます。 

◇骨盤の図・説明(weblio辞書)

 

2.骨盤骨折の治療

 保存療法が基本となりますが、転位の大きいもの、骨折部の不安定性の大きい強いものは手術療法が必要となります。

 手術が必要となる主な骨折として下記が挙げられます。

(1)マルゲーヌ骨折

 骨盤輪に2か所以上骨折があり、骨盤輪が垂直方向に離断される骨折。

 

(2)寛骨臼骨折

①股関節後方脱臼骨折

 大腿骨骨頭が股関節の関節包を突き破って後方に脱出、寛骨臼の後方辺縁を骨折。

 坐骨神経麻痺や大腿骨頭壊死などを起こすことがあります。

②中心性股関節脱臼骨折

  大腿骨骨頭が股関節の寛骨臼を突き破って骨盤内に脱臼

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定される等級

  骨盤骨に著しい変形(裸体となったときに変形が明らかに分かる程度)が残った場合は、自賠責保険において12級が認定されます。

  また、股関節に可動域制限(健側の3/4以上)が残った場合は、12級以上の等級が認定されます。

  神経麻痺が残ってしまった場合は、12級が認定されます。

◇鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨の変形障害の後遺障害等級

◇下肢の欠損障害・機能障害の後遺障害等級

 

(2)参考事例

骨盤骨折(坐骨・恥骨骨折)後の関節可動域制限・痛み等について自賠責後遺障害併合14級から併合12級に変更された事例

骨盤骨折の下肢の痺れ等について自賠責後遺障害併合14級から併合12級に変更された事例

 

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◇GurltとColdwellの表(骨折の癒合日数)

 交通事故では、鎖骨や肋骨を骨折してしまうことが多くあります。ここでは鎖骨骨折と肋骨骨折の概要、後遺障害等級との関係等について記載しています。

 

1.鎖骨骨折

(1)鎖骨骨折の概要

 鎖骨はS字状に曲がっているため、たいへん折れやすい骨で、肩をついて倒れたときや肩の外側からの衝撃(介達外力)によって起こることが多いといわれています。

 鎖骨骨折の好発部位は、鎖骨の外側から1/3の部分とされています。

◇鎖骨の図・説明(weblio辞書) 

 

(2)鎖骨骨折の治療法

 骨癒合が良好なため、保存療法が基本とされ、鎖骨バンド等で固定して治るとされています。

 もっとも、遠位端(鎖骨の外側の端の方)の骨折や第3骨片がある場合などには、手術が必要となることが多いとされています。

 

2.肋骨骨折

(1)肋骨骨折の概要

 肋骨骨折の合併症として胸膜や肺の損傷を起こすことがあり、注意が必要とされます。 

◇肋骨の図・説明(weblio辞書) 

 

(2)肋骨骨折の治療

 保存療法が基本とされ、バストバンドなどで固定して治るとされています。 

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 鎖骨骨折、肋骨骨折に関連する後遺障害認定基準は、下記のとおりです。

◇鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨の変形障害

◇上肢の欠損又は機能障害

◇疼痛等感覚障害

 

(2)認定される等級

①変形障害と疼痛

 鎖骨、肋骨等の骨に変形が残り、裸体となったときに変形が明らかに分かる程度のものと認められる場合は、12級が認定されます。

 変形の程度が、裸体となったときに明らかに分かる程度に至っていなくても、痛みの症状が残ってる場合は、14級が認定される可能性があります。

 

②肩関節の可動域制限

 鎖骨骨折では、手術・固定をしたときなど、肩関節に拘縮をきたし、可動域制限が生じてしまうことがあります。健側と比べて3/4以下に制限されている場合には、12級以上の等級が認定される可能性があります。

 

(3)参考事例

脳挫傷等による記憶障害・てんかん等の高次脳機能障害について自賠責後遺障害5級が認定された事例

肺挫傷による息切れ、脾臓摘出、肋骨の変形障害などについて自賠責後遺障害13級から併合11級に変更された事例

頭蓋骨骨折・頚椎骨折・鎖骨骨折等後のめまい・肩関節可動域制限等について自賠責後遺障害併合11級が認定された事例

 

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 交通事故では衝突時や転倒時などに上腕骨を骨折してしまうことがあります。

 上腕骨の骨折は、骨折した部位により、上端部骨折、骨幹部骨折下端部骨折に大きく分けられますが、 ここでは上端部骨折の概要を記載しています。

 

1.上腕骨上端部骨折の概要

 上腕骨上端部骨折は、骨折した部位により、上腕骨骨頭、解剖頚骨折と上腕骨外科頚骨折に大きく分けられます。

(1)上腕骨骨頭、解剖頚骨折

 この部位で骨折することは極めてまれと言われています。

 関節内骨折のため、骨癒合が起こりにくく、機能障害を起こしやすいとされています。 

 

(2)上腕骨外科頚骨折

  上端部骨折で最も多い骨折で、骨癒合が良好な部位の骨折と言われています。

 ◇上腕骨の図(weblio辞書) 

 

2.上腕骨上端部骨折の治療

 上端部骨折の治療は、保存療法が基本となりますが、転位の大きいものは手術療法が必要となります。

 上腕骨外科頚骨折では、懸垂ギプス包帯で7週間ほど固定する治療法がありますが、第3骨片が存在したり、骨折端間に軟部組織が入り込んでいる場合には、観血的整復法がとられます。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 肩関節に可動域制限(健側の3/4以上)が残った場合は、12級以上の等級が認定されます。

 可動域制限が等級に該当しない場合でも、痛みの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。  

  ◇上肢の欠損又は機能障害の後遺障害等級

  ◇上肢の変形障害(上腕骨又は前腕骨)の後遺障害等級

 

(2)参考事例

上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例

左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例

肩関節脱臼・上腕骨近位端骨折・小指基節骨骨折後の可動域制限・痛み等について自賠責後遺障害併合13級から併合9級に変更された事例

橈骨頭骨折・肘骨折・踵骨骨折等による関節可動域制限・疼痛・CRPS等について障害年金2級が認定された事例

 

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 交通事故では衝突時や転倒時などに上腕骨を骨折してしまうことがあります。

 上腕骨の骨折は、骨折した部位により、上端部骨折、骨幹部骨折、下端部骨折に大きく分けられますが、 ここでは骨幹部骨折の概要を記載しています。

 

1.上腕骨骨幹部骨折の概要

 上腕骨骨幹部骨折は、頻度の比較的高い骨折で、衝突などの直接的な外力では横骨折、転倒して手や肘をついたときなどの外力ではら旋骨折を起こしやすいと言われています。

 合併症として、骨神経麻痺を起こしやすく、比較的偽関節にもなりやすいとされています。 

 ◇上腕骨の図・説明(weblio辞書) 

 

2.上腕骨骨幹部骨折の治療

 骨幹部骨折の治療は、ギプス固定による保存療法が基本とされていますが、転位の大きいものなどは手術療法が必要とされています。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 上腕骨に一定の変形障害が残った場合には、7級(1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの)、8級(1上肢に偽関節を残すもの)もしくは12級(長管骨に変形を残すもの)の等級が認定されます。

 変形障害が認められない場合でも、痛みの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。また、橈骨神経麻痺が残った場合は、12級の等級が認定されます。

 ◇上肢の欠損又は機能障害の後遺障害等級

 ◇上肢の変形障害(上腕骨又は前腕骨の後遺障害等級

 

(2)参考事例

上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例

左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例

肩関節脱臼・上腕骨近位端骨折・小指基節骨骨折後の可動域制限・痛み等について自賠責後遺障害併合13級から併合9級に変更された事例

 

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◇上腕骨骨折(上端部)の基礎知識

◇上腕骨骨折(下端部)の基礎知識

◇上肢の神経麻痺(橈骨神経麻痺、正中神経麻痺、尺骨神経麻痺)の基礎知識

 交通事故では衝突時や転倒時などに上腕骨を骨折してしまうことがあります。

 上腕骨の骨折は、骨折した部位により、上端部骨折骨幹部骨折、下端部骨折に大きく分けられますが、 ここでは下端部骨折の概要を記載しています。

 

1.上腕骨下端部骨折の概要

 上腕骨下端部骨折は、骨折の部位により、顆上骨折、外顆骨折、内上顆骨折、通顆骨折などに分類されますが、このうち頻度が高いとされるのは、顆上骨折と外顆骨折です。

(1)上腕骨顆上骨折

 上腕骨顆上骨折は、5〜12歳くらいの小児が手をついて転倒したときに多く発生するとされる骨折です。倒れたときに手を伸ばしていたかどうかにより、伸展骨折と屈曲骨折に分けられますが、伸展骨折が圧倒的に多いとされます。

 ◇上腕骨顆上骨折の説明(日本整形外科学会)

 

(2)上腕骨外顆骨折

 上腕骨外顆骨折は、小児の肘関節周辺の骨折の中で、顆上骨折に次いで多いとされる骨折で、転倒や転落により発生しやすいと言われています。

 ◇上腕骨の図・説明(weblio辞書) 

 

2.上腕骨下端部骨折の治療

(1)上腕骨顆上骨折

 上腕骨顆上骨折では、徒手整復もしくは牽引を行いギプス固定が行われますが、整復が不完全な場合、成人の場合、血管・神経損傷のある場合などには手術療法がとられることがあります。 

 合併症として、橈骨神経・正中神経損傷、内反肘変形などが起こることがあります。

 

(2)上腕骨外顆骨折

 上腕骨外顆骨折の多くは徒手整復が困難で、手術療法が必要とされています。

 転位が放置されると偽関節が生じやすく、外反肘変形をきたし、長い年月(20〜40年ほど)の後に遅発性尺骨神経麻痺を起こすことがあるとされます。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 肘関節に可動域制限(健側の3/4以上)が残った場合には、12級以上の等級が認定されます。

 上腕骨に一定の変形障害が残った場合には、7級(1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの)、8級(1上肢に偽関節を残すもの)もしくは12級(長管骨に変形を残すもの)の等級が認定されます。

 関節可動域制限や変形障害が認められない場合でも、痛みの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。また、橈骨神経麻痺などの神経麻痺が残った場合は、12級の等級が認定されます。 

 ◇上肢の欠損又は機能障害の後遺障害等級

 ◇上肢の変形障害(上腕骨又は前腕骨の後遺障害等級)

 

(2)参考事例

上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例

左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例

肩関節脱臼・上腕骨近位端骨折・小指基節骨骨折後の可動域制限・痛み等について自賠責後遺障害併合13級から併合9級に変更された事例

 

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◇上腕骨骨折(上端部)の基礎知識

◇上腕骨骨折(骨幹部)の基礎知識

 交通事故では衝突時や転倒時などに前腕骨(骨、尺骨)を骨折してしまうことがあります。

 前腕骨の骨折は、骨折した部位などにより、骨幹部骨折、モンテジア骨折橈骨遠位端骨折(コーレス骨折、スミス骨折)などに分けられますが、 ここでは骨幹部骨折の概要を記載しています。

 

1.前腕骨骨幹部骨折の概要

 前腕骨骨幹部骨折では、衝突などの直接的な外力では骨と尺骨のほぼ同じ高さで折れる横骨折と、転倒したときなどの外力では高さの異なる両方の骨の斜骨折を起こすことが多いと言われています。

 橈骨の図・説明(weblio辞書) 

 ◇尺骨の図・説明(weblio辞書)

 

2.前腕骨骨幹部骨折の治療

 前腕骨骨幹部骨折は、整復と固定を保持することが難しく、遷延治癒骨折や偽関節になりやすいとされています。

 また、前腕の回内・回外運動制限が起こりやすいため、観血的整復と強固な内固定、そして早期の運動訓練が必要とされています。

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 前腕骨に一定の変形障害が残った場合には、7級(1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの)、8級(1上肢に偽関節を残すもの)もしくは12級(長管骨に変形を残すもの)の等級が認定されます。

 変形障害が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。    

 ◇上肢の欠損又は機能障害の後遺障害等級

 ◇上肢の変形障害(上腕骨又は前腕骨の後遺障害等級

 

(2)参考事例

上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例

左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例

橈骨頭骨折・肘骨折・踵骨骨折等による関節可動域制限・疼痛・CRPS等について障害年金2級が認定された事例

前腕不全切断後の手関節・手指関節可動域制限などについて労災障害等級6級が認定された事例

 

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  交通事故では衝突時や転倒時などに前腕骨(骨、尺骨)を骨折してしまうことがあります。

 前腕骨の骨折は、骨折した部位などにより、骨幹部骨折モンテジア骨折、橈骨遠位端骨折(コーレス骨折、スミス骨折)などに分けられますが、ここでは橈骨遠位端骨折(コーレス骨折、スミス骨折)の概要を記載しています。

 

1.橈骨遠位端骨折の概要

(1)コーレス(Colles)骨折

 コーレス骨折とは、橈骨の遠位骨片が手の甲の方(背側)に転位して、フォークを伏せて置いたような変形が生じた場合を言います。

 この骨折は、手のひらをついて倒れたときに手関節の背屈を強制されて生じます。

 橈骨遠位端に走る斜骨折が特徴とされていますが、高齢者ではY字型骨折や粉砕骨折の場合が多いとされています。

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(2)スミス(Smith)骨折

 スミス骨折とは、橈骨の遠位骨片が手のひらの方(掌側)に転位して、コーレス骨折と逆の変形を生じた場合を言います。

 この骨折は、自転車やバイクのハンドルを握ったまま倒れたときなどに起こる骨折で、手の甲をついて倒れたときなどに生じます。

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◇橈骨の図・説明(weblio辞書) 

◇橈骨遠位端骨折(コーレス骨折・スミス骨折)の説明(日本整形外科学会)

 

2.橈骨遠位端骨折の治療

 主に徒手整復、ギプス固定が行われます。粉砕骨折や骨片が関節内に入って整復できない場合には、手術療法がとられます。

 コーレス骨折の場合には、整復が容易にできても、整復位の保持が困難であるのが特徴と言われており、このため創外固定などが行われることもあります。 

 

3.後遺障害等級との関係

(1)認定基準

 橈骨骨折に関する後遺障害の認定基準は、下記のとおりです。

◇上肢の欠損又は機能障害の後遺障害等級

◇上肢の変形障害(上腕骨又 は前腕骨)の後遺障害等級

◇疼痛等感覚障害(受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害)

 

(2)認定される等級

 橈骨に一定の変形障害が残った場合には、8級(1上肢に偽関節を残すもの)もしくは12級(長管骨に変形を残すもの)の等級が認定されます。

 変形障害が認められない場合でも、痛みなどの症状が残った場合には、12級もしくは14級の等級が認定されることがあります。    

 

(3)関連事例

上腕骨近位端骨折・橈骨頭骨折後の肩関節機能障害・複合性局所疼痛症候群(CRPS)について自賠責後遺障害併合7級が認定された事例

左前腕骨骨折・上腕骨等骨折後の左上肢機能障害・醜状障害等について自賠責後遺障害併合10級が認定された事例

橈骨頭骨折・肘骨折・踵骨骨折等による関節可動域制限・疼痛・CRPS等について障害年金2級が認定された事例

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橈骨遠位端骨折後の痛み・痺れ等の症状について労災障害等級14級が認定された事例

 

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