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 交通事故では骨折等により関節に機能障害が残ってしまうことがあります。

 ここでは、関節機能障害の評価方法について、自賠責保険の後遺障害等級認定で準拠している労災保険の認定基準に基づいてまとめています。

 

1.関節機能障害の評価方法のポイント

(1)主要運動の採用と健側との比較(原則)

  関節機能障害は、原則として、受傷した関節の主要運動(日常の動作にとって最も重要なもの)の可動域制限の程度を、健側(怪我のない方)の可動域角度と比較して評価されます。

 せき柱(頚部)、肩関節、股関節のように主要運動が複数ある場合、いずれか一つの可動域が健側の1/2以下または3/4以下に制限されていれば、関節機能障害として評価されます。

 

(2)参考可動域角度との比較(例外)

 上記(1)のとおり、関節可動域の測定結果は健側と比較するのが原則ですが、健側にも障害がある場合やせき柱の障害の場合等には、参考可動域角度と比較して評価されます。

 

(3)同一面の運動は可動域角度を合計(原則)

 屈曲と伸展のように同一面にある運動については、原則として、両者の可動域角度を合計した値をもって関節可動域制限の程度が評価されます(下表では「屈曲+伸展」というように「+」で記しています)。 

 例外として、肩関節の屈曲(主要運動)と伸展(参考運動)があり、これらは合計せず、それぞれの角度をみます。

 

(4)他動値の採用(原則)

 関節可動域は、原則として、他動運動による測定値(他動値)が採用されます。

 例外として、麻痺などの場合には自動運動による測定値(自動値)が参考にされます。

部位 主要運動 参考運動
 せき柱(頚部) ①屈曲+伸展
②回旋
側屈 
 せき柱(胸腰部) 屈曲+伸展 ①回旋
②側屈
 肩関節 ①屈曲
②外転+内転
①伸展
②外旋+内旋   
 ひじ関節 屈曲+伸展  
 手関節 屈曲+伸展 ①橈屈
②尺屈
 前腕 回内+回外  
 股関節 ①屈曲+伸展
②外転+内転
外旋+内旋
 ひざ関節 屈曲+伸展  
 足関節 屈曲+伸展  
 母指 ①屈曲+伸展
②橈側外転
③掌側外転
 
 手指及び足指 屈曲+伸展  

 

2.参考運動が評価されるケース

 主要運動の可動域が、わずかな差で健側の1/2以下または3/4以下に制限されていない場合には、参考運動の可動域(上記1の表参照)もみて評価されます。

(1)上肢・下肢の3大関節

 主要運動の可動域が健側の可動域の1/2または3/4をわずかに(※1)上回る場合、参考運動が1/2以下または3/4以下に制限されているときは、関節の著しい機能障害または機能障害と認定されます。

 

(2)せき柱(頚椎または胸腰椎)

 主要運動の可動域が参考可動域角度の1/2をわずかに(※1)上回る場合、参考運動が1/2以下に制限されているときは、頚椎または胸腰椎の運動障害と認定されます。

 

(※1)「わずかに」とは、原則5度とされています。

 ただし、次のa〜dの主要運動について「せき柱の運動障害」または「関節の著しい機能障害」にあたるかどうかを判断する場合は10度とされています。   

 a. せき柱(頚部)の「屈曲+伸展」、「回旋」 

 b. 肩関節の「屈曲」、「外転」

 c. 手関節の「屈曲+伸展」

 d. 股関節の「屈曲+伸展」

(※2)参考運動が複数ある関節(脊柱、肩、手)は、いずれか一つが上記のとおり制限されていれば評価されます。

 

3.その他

 関節の強直とは、関節の完全強直もしくはこれに近い状態にあるものをいいます。

 「これに近い状態」とは、関節可動域が原則として健側の関節可動域の10%程度以下に制限されているものをいいます。さらに「10%程度」とは健側の関節可動域角度(せき柱では参考可動域角度)の10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角度とします。

 関節可動域が10度以下に制限されている場合はすべて「これに近い状態」に該当するものとして扱うこととされています。

(令和5年10月7日更新)

 

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