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 交通事故では、頭部に強い外力を受けることで記憶力低下などの症状が現れ、後遺症として残ってしまうことがあります。

 下記では、これらの障害(高次脳機能障害と言われています)の後遺障害認定基準と等級認定のポイントについてまとめています。 

 

1.高次脳機能障害の基準 

 交通事故で頭部を受傷し、一定期間治療を受けても記憶力、判断力、注意力等が低下したり、性格が変化したりする障害が残ってしまい、高次脳機能障害が問題となるケースが珍しくありません。高次脳機能障害に関する規定は、下記2のとおり、自賠法施行令別表第一1級1号、2級1号、別表第二3級3号、5級2号、7級4号、9級10号に定められています。

 

2.等級認定のポイント

 自賠責保険の実務では、高次脳機能障害が問題となる事案として、以下の5条件を設定し、いずれか1つでも該当する事案については、「特定事案」として、損害保険料率算出機構という第三者機関に設置されている高次脳機能障害審査会(本部審査会と地区審査会があります)で脳神経外科や精神神経科などの専門医が審査委員として審議しています。

 

【高次脳機能障害が問題となる事案】

①初診時に頭部外傷の診断があり、頭部外傷後の意識障害(半昏睡〜昏睡で開眼・応答しない状態:JCSが3桁、GCSが8点以下)が少なくとも6時間以上、もしくは、健忘症あるいは軽度意識障害(JCSが2桁〜1桁、GCSが13〜14点)が少なくとも1週間以上続いた症例
②経過の診断書または後遺障害診断書において、高次脳機能障害、脳挫傷(後遺症)、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷等の診断がなされている症例

③経過の診断書または後遺障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する具体的な症状(*)、あるいは失調性歩行、痙性片麻痺など高次脳機能障害に伴いやすい神経徴候が認められる症例、さらには知能検査など各種神経心理学的検査が施行されている症例

(*)記憶・記銘力障害、失見当識、知能低下、判断力低下、注意力低下、性格変化、易怒性、感情易変、多弁、攻撃性、暴言・暴力、幼稚性、病的嫉妬、被害妄想、意欲低下

④頭部画像上、初診時の脳外傷が明らかで、少なくとも3ヶ月以内に脳室拡大・脳萎縮が確認される症例
⑤その他、脳外傷による高次脳機能障害が疑われる症例

 自賠責保険の後遺障害等級認定は、原則として労災保険の認定基準に準拠していますが、高次脳機能障害については、労災保険に先行して自賠責保険が認定システムを確立しており(平成13年1月実施)、労災保険の認定基準の考え方をそのまま取り入れていないことに注意が必要です。

 「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて」(平成12年12月18日)によれば、労災保険の認定基準を補足するものとして、下表の考え方に基づき、高次脳機能障害の認定を行っていくことが必要とされており、自賠責保険の実務上もこの考え方が基本となっています。

 障害の程度の判断にあたっては、画像所見、意識障害の程度神経心理学的検査結果(WAIS-Ⅲ、三宅式記銘力検査等)もポイントとなりますが、診療医に回答してもらう照会回答書および被害者のご家族等に回答してもらう日常生活状況に関する回答書も重要になってきます。特に日常生活状況に関する回答書にはフリースペース欄がありますので、できるだけ具体的にエピソード等を含めて記載することが重要です。

 また、脳の損傷により高次脳機能障害に並存することが多い身体性機能障害(麻痺)については、最終的には両者を総合的に評価して等級認定がなされます。

 

【高次脳機能障害の認定基準】

自賠法施行令

補足的な考え方

別表第一 1級1号

神経系統の機能は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要するもの

別表第一 2級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

著しい判断力の低下や情動の不安定などがあ って、1人では外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことがで きても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの

別表第二

3級3号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活 範囲は自宅に限定されていない。また、声掛け や、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶力や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの

別表第二 5級2号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの

別表第二 7級4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの

別表第二9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

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