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 自賠責保険の後遺障害等級認定において準拠している労災保険の認定基準では、障害等級認定にあたっての基本的事項として、下記を定めています。

 

1.障害補償の意義

(1)根拠法等

内容 根拠法等
労働基準法の障害補償 労働基準法第77条
労災保険法の障害補償 労災保険法第12条の8、第22条の3
障害補償の対象となる障害の程度 労働基準法施行規則(労基則)別表第2身体障害等級表
労災保険法施行規則(労災則)別表第一障害等級表 
障害等級表 労基則第40条第1項、労災則第14条第1項
障害等級表の身体障害が2つ以上ある場合(併合) 労基則第40条第2項、労災則第14条第2項
障害等級表以外の身体障害(準用) 労基則第40条第4項、労災則第14条第4項
障害の程度の加重 労基則第40条第5項、労災則第14条第5項

 

(2)障害補償の目的等

項目 内容
障害補償の目的 障害による労働能力の喪失に対する損失てん補
障害補償の対象

負傷又は疾病(傷病)がなおったとき(注1)に残存する当該傷病と相当因果関係を有し、かつ、将来においても回復が困難と見込まれる精神的又は身体的なき損状態(障害)であって、その存在が医学的に認められ、労働能力(注2)の喪失を伴うもの

障害程度の評価

◯原則、療養効果が期待し得ない状態となり、症状が固定したときにこれを行う。

◯療養効果が期待し得ない状態であっても、症状の固定に至るまでにかなりの期間を要するものと見込まれる場合は、医学上妥当と認められる期間を待って、障害程度を評価する。
症状の固定の見込みが6ヶ月以内の期間においても認められない場合は、療養の終了時において将来固定すると認められる症状によって等級認定する。

(注1)「なおったとき」

 「なおったとき」とは、傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(療養)をもってしても、その効果が期待しない状態(療養の終了)で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状固定)に達した時をいう。

(注2)「労働能力」

 「労働能力」とは、一般的な平均的労働能力をいい、被災労働者の年齢、職種、利き腕、知識、経験等の職業能力的諸条件については、障害の程度を決定する要素とはなっていない。

 

2.障害等級表の仕組みとその意義

 障害等級表は、障害の系列と序列からなります。

項目 内容
障害の系列

◯身体を解剖学的観点から「部位」に分け、次に各部位における身体障害を機能の面に重点をおいた生理学的観点から35種の障害群に分けたものをいう。

◯同一欄内の身体障害は、同一の系列にあるものとして取り扱う。ただし、下記のように、同一部位に系列を異にする身体障害を生じた場合は、同一系列とみなして取り扱われる。
①両眼球の視力障害調節機能障害運動障害視野障害の各相互間
②同一上肢の機能障害手指の欠損または機能障害
③同一下肢の機能障害足指の欠損または機能障害

障害の序列

身体障害を労働能力の喪失の程度に応じて第1級から第14級に区分し、同一系列の障害相互間における等級の上位、下位の関係をいう。

 

3.障害等級認定にあたっての原則と準則

(1)併合

項目 内容
意義・原則

併合とは、系列を異にする身体障害が2つ以上ある場合に、重い方の身体障害の等級によるか、またその重い方の等級を1級ないし3級を繰り上げて、当該複数の障害の等級とすることをいう。

例外

①障害の序列を乱す場合

 併合をして等級が繰り上げられた結果、障害の序列を乱すことになる場合は、障害の序列に従って等級を定めることになる(当該等級の直近上位または直近下位の等級を認定)

②系列を異にする身体障害が2つ以上存在する場合には、併合して等級を認定することとなるが、次の場合は併合の方法を用いることなく等級を定めることとなる。

(a)障害等級表上では組み合わせ等級として定められているもの 

 障害等級表に定められた当該等級により認定される。

(b)1つの障害が観察の方法によっては、障害等級表上の2つ以上の等級に該当すると考えられる場合

 1つの身体障害を複数の観点(複数の系列)で評価しているに過ぎないため、いずれか上位の等級を当該障害の等級とする。

(c)1の身体障害に他の身体障害が通常派生する関係にある場合

 いずれか上位の等級を当該障害の等級とする。

 

(2)準用

 障害等級表に掲げられていない身体障害については、その障害の程度に応じ、障害等級表に掲げる身体障害に準じて、その等級(準用等級)を定めることとされています。具体的には、次の2つの場合をいいます。

①ある身体障害が、障害等級表上のいかなる障害の系列にも属さない場合

障害等級表に、その属する障害の系列はあるが、該当する身体障害がない場合

項目 内容
①いかなる障害の系列にも属さない場合

その障害によって生じる労働能力の喪失の程度を医学的検査結果等に基づいて判断し、その障害が最も近似している系列の障害における労働能力の喪失の程度に相当する等級を準用等級として定める。

(例)嗅覚脱失等の鼻機能障害、味覚脱失等の口腔障害は、全体としては神経障害に近い障害と見なされているところから、第12級の12「局部にがん固な神経症状を残すもの」を準用して等級認定する。 嗅覚減退については第14級の9「局部に神経症状を残すもの」を準用して等級認定する。

②障害の系列は存在するが、該当する障害がない場合

(a)同一系列に2以上の障害が属する場合
 それぞれの障害について等級を定め、併合の方法を用いて準用等級を定める。ただし、この結果、序列を乱すときは、その等級の直近上位または直近下位の等級を認定する。

(b)本来は異なる系列のものを同一系列として取り扱う場合 
 上記(a)と同じ。

 

(3)加重

 既に身体障害のあった者が、業務災害または通勤災害によって同一の部位について障害の程度を加重した場合は、加重した限度で障害補償を行うこととされています。

項目 内容
①「既に身体障害があった者」

◯新たな業務災害または通勤災害の発生前に、既に身体障害のあった者をいう。

◯その身体障害が、当該事業場に雇用される前の災害によるものか当該事業場に雇用された後の災害によるものか、先天性のものか後天性のものか、業務上の事由によるものか業務外の事由によるものか、現実に給付を受けたものであるかにかかわらず、既に障害等級表に定められている程度の身体障害が存していた者をいう。

②「加重」

◯加重とは、業務災害または通勤災害によって新たに障害が加わった結果、障害等級表上、現存する障害が既存の障害より重くなった場合をいう。

◯このため、自然的経過または既存の障害の原因となった疾病の再発など、新たな業務災害または通勤災害以外の事由により障害の程度を重くしたとしても、ここにいう加重には該当しない。

◯ また同一部位に新たな障害が加わったとしても、その結果、障害等級表上、既存の障害よりも現存する障害が重くならなければ、加重には該当しない。

◯既存の障害が、業務災害または通勤災害によるものである場合は、その後の障害の程度の変更いかんにかかわらず、既に障害補償をなされた等級を既存の障害の等級とする。

③「同一の部位」

◯「同一の部位」とは、上記2の「同一系列」の範囲内をいう。

◯ただし、異なる系列であったとしても、「欠損」または「機能の全部喪失」はその部位における最上位の等級であるので、障害が存する部位に「欠損」または「機能の全部喪失」という障害が後に加わった場合は、それが系列を異にする障害であったとしても「同一部位」の加重として取り扱うこととする。

④「加重した限度で障害補償を行う」

◯加重の場合の障害補償の額は、加重された身体障害の該当する障害等級の障害補償の額(日数)から、既に存していた身体障害の該当する障害等級の障害補償の額(日数)を控除して得た日数とする。ただし、既存身体障害が第8級以下に該当するもので、新たに加重の結果、第7級(年金)以上になった場合には、 現在の身体障害の該当する障害等級の障害補償の年額(日数)から既存の身体障害の障害補償の額(日数)の25分の1を控除して得た額となる。

◯同一の部位に身体障害の程度を加重するとともに、他の部位にも新たな身体障害が残った場合は、まず同一部位の加重された後の身体障害についてその障害等級を定め、次に他の部位の身体障害について障害等級を定め、両者を併合して現在の身体障害の該当する障害等級を認定する。

◯系列を異にする身体障害で障害等級表上、特ににその組み合わせを規定しているために、同一系列とされている場合、既存障害としてその一方に身体障害を有していた者が、新たに他方に身体障害を加え、その結果、組み合わせ等級に該当するに至ったときは、新たな身体障害のみの該当する等級によることなく、加重として取り扱われる。

◯手指及び足指並びに相対性器官(眼球及び内耳等)で身体障害の程度を加重した場合であっても、次の場合には以下の準則により取り扱う。

(a)手(足)指に既に身体障害を有する者が、同一手(足)の他指に新たに身体障害を加えた場合及び相対性機関の一側に既に身体障害を有する者が、他側に新たに身体障害に残した場合において、前記の方法により算定した障害補償の額(日数)が、新たな身体障害のみが生じたこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないときは、その新たな身体障害のみが生じたものとみなして障害等級の認定が行われる。

(b)1つの手(足)の2以上の手(足)指に既に身体障害を有する者が、その身体障害を有している手(足)指の一部について身体障害の程度を重くし場合において、前記の方法により算定した障害補償の額(日数)が、その一部の手(足)指のみに身体障害が存したものとみなして新たに身体障害の程度を加重したこととした場合の障害補償の額(日数)より少ない時は、 その一部の手(足)指にのみ新たに身体障害の程度を加重したものとみなし、取り扱うこととする。

(c)相対性器官の両側に既に身体障害を有する者が、その1側について既存の障害の程度を重くした場合に、前記の方法により算出した障害補償の額(日数)が、その1側のみに身体障害が存したものとみなして新たに身体障害の程度を加重した場合の障害補償の額(日数)より少ない時は、その1側にのみ新たに身体障害の程度を加重したものと見做して障害等級の認定を行うこととする。

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