むち打ち症の他覚的所見(後遺症12級の要件)について

 むち打ち症の場合でも、労災保険の認定基準の要件を満たせば、1213号の後遺障害が認定されます。

  労災保険の認定基準上、1213号の要件は、「通常の労務に服することはでき、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるもの」とされていますが、実務的には、改定前の認定基準どおり、「他覚的に神経系統の障害が証明されるもの」、とされています。

  これは症状を裏付ける客観的な所見−例えば、レントゲン写真やMRI画像での異常所見−の有無によって判断されます。

 交通事故により骨折し、その後しばらく治療しても痛みがおさまらない場合、骨癒合の状況が不良など痛みの症状を裏付ける画像所見があれば、それをもって1213号の認定がなされます。 

 しかし、むち打ち症の場合は、骨折など明らかな外傷性の異常所見が見られないのが普通です。このため、これを根拠に症状を裏付ける客観的な所見は認められないとして、1213号の認定が否定されることが多いと思います。

 ただ、しびれの症状が残っている場合には注意が必要になります。骨折などの外傷性の異常所見はないとしても、しびれの原因が椎間板ヘルニアによる場合には、1213号が認定される可能性が十分にあるからです。

 確かに骨折を伴うような受傷をしなければ、椎間板ヘルニア自体が交通事故で起こることはほとんどないといわれています。

 しかし、事故前から椎間板ヘルニアがあったとしても、事故を契機に椎間板ヘルニアによるしびれの症状が出現し、MRI画像および神経学的検査によって症状と整合する異常所見が認められるときには、1213号の要件を満たしていることになります。

 これは腰部受傷後の下肢のしびれの症状についても同じことがいえます。しびれの症状が残っている方はご注意ください。

 

 

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