派遣先で労働災害が発生した場合

 派遣労働者の方が派遣先で業務中に労働災害にあって受傷した場合、派遣元と派遣先のどちらに、どのような請求ができるのか分かりにくいところがあります。

 下記では、派遣元・派遣先の義務等について、基礎的な事項をまとめています。

 

1.派遣労働者とは

 派遣労働者は、派遣元(派遣会社)に雇用されて賃金を受け取り、仕事に関しては派遣元と労働者派遣契約を結んだ派遣先での指揮・命令に基づき行う、という形をとります。

 派遣労働に関しては、労働者派遣法により、派遣労働者の定義を含め、様々なことが定められています。

 

2.派遣元の義務等

 派遣元は、派遣労働者の雇用主ですので、労働基準法・労働安全衛生法・労働契約法等の法律や雇用契約に基づき様々な義務・責任等が発生します。労災保険に加入する義務も、雇用主である派遣元にあります。

 このため、派遣先で事故が発生した場合には、派遣元の労災保険に申請することができます。派遣元はその管轄する労働基準監督署に労働者死傷病報告を行う必要があります。 

 

3.派遣先の義務等

 派遣先は、派遣労働者と直接の契約関係にありませんが、派遣元との労働者派遣契約に基づいて、業務の指揮・命令を行う立場にあります。このため、派遣先にも、労働基準法や労働安全衛生法等の法律の一部が適用され、様々な義務・責任等が発生します(派遣労働者に対する安全配慮義務も発生するとされています)。

 派遣労働者が業務中に労働災害が発生した場合には、派遣先を管轄する労働基準監督署に労働者死傷病報告を行う必要があるとともに、その写しを派遣元に送付する必要があります。

 労災保険については派遣元を管轄する労働基準監督署に手続きを行いますが、民事上の賠償責任は派遣先にも発生することがあります。

 

4.まとめ

 派遣先で業務中に労働災害にあってしまいお怪我をした場合、派遣元の労災保険に申請をして治療費や休業補償を受けることになります。しかし、労災保険からの支給には一定の限度があります(休業補償は100%ではなく、慰謝料は支給されないなど)。

 このため、派遣先・派遣元では任意に保険会社の労災保険に加入していることがありますので、まずは保険加入の有無の確認が必要になります。もし任意の労災保険に加入していない場合には、派遣先・派遣元に民事上の賠償請求ができることがあります。

 ただ民事上の賠償請求では、労災保険では適用されない過失相殺が適用されますので、派遣労働者の方の過失の有無・大きさによっては、実際の損害額が労災保険からの支給額を上回らないこともあり得ます。

 賠償請求のために会社側とやりとりを行う見込みのときには、お早めに労災を扱っている弁護士の方に準備しておくべきことや今後の見通し等について確認・相談しておく必要が出てくることがあります。


(平成27年10月30日作成)



【参考ホームページ】

◇派遣労働者の安全衛生対策について(厚生労働省ホームページ) 

【関連ページ】

◇労災保険制度の基礎知識

◇労災事故発生時の会社(事業主)の義務について

労災保険の後遺障害認定のポイント

 労災保険の後遺障害認定は、自賠責保険と同じ認定基準(障害認定必携)に基づいて行われますが、自賠責保険と比べて特徴的な制度などがあります。ここでは、その主なものを挙げています。

 

1.制度面の特徴

(1)面接の実施

 自賠責保険の後遺障害認定は書面審査が原則で、面接は醜状障害がある場合に限られていると思います。

 これに対して労災保険では、労働基準監督署の担当者との面接、労災の医師(地方労災医員と言われます)との面接(検査等)が行われ、何回ものチェックが行われていると言えます。

 

(2)不服申立の回数制限と期限

 自賠責保険の後遺障害の異議申し立てには回数制限や期限は特にありません(時効はあります)。

 これに対して労災保険では、結果を知った日の翌日から一定の期間内に不服申し立てを行うことが必要で(審査請求は3ヶ月以内、再審査請求は2ヶ月以内)、回数も審査請求と再審査請求の2回に限られています(裁判は起こすことができます)。

 ただし、この期限までに全てのことを行うことは求められておらず、所定の形式(通常は所定の文書)で不服申し立ての意思を示せば、この期限はクリアされますので、色々な準備等を行う前に、最初に不服申立の意思を示しておくことが期限との関係では安心と思います。

 

(3)アフターケア制度、「再発」の認定

 自賠責保険などの損害賠償では一般に症状固定とされた後は、治療費の支払いはされません。

 これに対して労災保険では、一定の傷病(脊髄損傷、脳の器質性障害、RSDなど20傷病)に該当する場合には、所定の手続き(健康管理手帳交付申請書を所轄の労働局長に提出)をすることで、症状固定後も診察、保健指導、保健のための措置、検査の4つの措置を受けることができます。これはアフターケア制度と言われます。

 また、症状固定後に症状が明らかに悪化した場合には、「再発」が認められて療養(補償)給付が受けられることがあります。再発の認定を受けて治療を続けたものの、症状が悪化したまま回復の見込みが乏しいときには、再度障害認定が行われることもあります。再発が認められる要件として、次の3つすべてを満たすことが求められています。

 @症状の悪化が当初の業務上・通勤中による傷病と相当因果関係があると認められること

 A症状固定の時からみて、明らかに症状が悪化していること

 B療養を行えば、症状の改善が見込めると医学的に認められること

 

(4)診断書の書式

 障害補償給付(障害給付)申請のための診断書は、自賠責保険の後遺障害診断書よりもフリースペースのウエイトが大きい印象があります。医師は一般に忙しく、症状・所見などがそれなりに残っている場合でも最小限の記載しかしないこともあります。労基署では担当者や労災医師のチェックがあり、診断書の記載のとおりに認定されるとは限りませんが、できるだけ画像所見・検査所見、自覚症状等についてきちんと記載していただいた方が良い結果に結びつきやすいと思います(医師はきちんとお願いをしますと可能な範囲で追加記載等をしていただけることが多いです)。

 

2.等級認定面の特徴

(1)面接結果の等級への影響

 労災保険では、労基署の担当者との面接、労災の医師との面接(検査等)が等級認定に大きな影響を与えることがあります。

 この面接で症状等について述べたこと、労災医師による所見・検査結果(可動域角度など)等が、障害給付申請の診断書の内容より優先して認定されることがあります。

 このため、書面審査を採る自賠責保険とは異なる等級が認定されることがあります。

 

(2)認定基準に忠実な認定

 自賠責保険の後遺障害認定は労災保険の認定基準に準拠していますが、部分的に認定基準とは異なる運用等を行っているところがあります。

 これに対して労災保険では、認定基準に忠実に当てはめをして認定を行っている印象があります。例えば、自賠責保険と違いが出てくると考えられる例として、下記が挙げられます。 

 

@高次脳機能障害の認定

 高次脳機能障害の等級については、認定基準上、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力の4つの能力の喪失の程度(複数の能力に障害があるときには最も喪失の程度の重いもの)に着目して、高次脳機能障害の等級を認定することとし、最も程度が重い場合には1級、最も程度が軽い場合には14級とされています。

 労災保険では、医師への照会等の結果、脳の損傷が明らかで、複数の能力に障害がある場合でも、喪失の程度がすべて最も軽いところに回答があったような場合には、認定基準どおり、14級が認定されることがあります。

 これに対して自賠責保険では高次脳機能障害については独自に認定基準を設けています。上記のように、脳の損傷が明らかでこれにより記憶力の低下等の障害が少しでも残ったケースでは、9級以上の等級が認定されることが基本と思われます。 

 

A受傷部位の痛みの認定−12級の認定−

 受傷部位の痛みについては、認定基準上、「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの」が12級、「通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの」が14級とされています。

 12級と14級の違いは、自賠責保険の場合には、症状を裏付ける客観的な所見が認められれば12級、自覚症状主体であれば14級と区別されていると思いますが、労災保険では、客観的な所見が認められる場合でも12級が認定されないことがあります。上記認定基準の文言を重視し、痛みの症状の程度がかなり重いことを前提としている印象です。症状の重さについては、面接時のご本人の訴えの内容や主治医の先生の診断書等の内容に基づいて判断していると思われます。このため、自賠責保険では12級が認定されても、労災保険では14級が認定されることがあります。

 

B受傷部位の痛みの認定−14級の認定−

 受傷部位の痛みについては、上記のとおり、受傷した部位に「ほとんど常時」疼痛を残す場合に14級として認定されることになっています。

 労災保険では、この「ほとんど常時」について、文字通り解釈して認定している印象です。このため、例えば、骨折した箇所が何もしなければ痛みはないが、普通の動作で痛みが出るような場合、労災保険では、「ほとんど常時」には該当しないという解釈をして、14級には該当しない(後遺障害に該当しない)という認定を行うことがあります。

 これに対して自賠責保険ではこのような例の場合には、「ほとんど常時」に含めて、14級と認定することがあると思います。

 

C加重の認定

 加重とは、認定基準上、事故で同一部位に新たに障害が加わった結果、等級表上、現存する障害が既存の障害より重くなった場合をいい、この「同一部位」とは「同一系列」の範囲内をいうとされています。

 例えば、首の痛みと腰の痛みの障害はどちらも神経系統の障害という同一系列になりますので、労災保険では、前の事故で首の痛みとして14級が認定されている場合、今回の事故で腰の痛みが残った場合、12級以上が認定されませんと加重には当たらない(腰の痛みについて後遺障害として認定されない)扱いがされると思います。

 これに対して自賠責保険では、受傷した部位が首と腰のように異なれば、同一系列の障害でも別々に後遺障害認定がされていると思います。

 

(平成27年8月12日作成)

 

【関連ページ】

◇労災保険制度の基礎知識

◇労災保険と自動車保険の調整方法

◇後遺障害等級認定のポイント

◇労災保険と自賠責保険の後遺障害等級の違い

◇派遣先で労働災害が発生した場合

◇労災保険の後遺障害認定時期と留意点

◇労災保険の後遺障害等級認定理由の確認方法

◇労災保険のアフターケア制度の基礎知識

◇労働基準監督署の関節可動域測定の疑問点

◇労災保険の症状固定までの期間と障害認定

労災保険の高次脳機能障害12級と14級の認定基準

 労災保険の高次脳機能障害12級と14級の認定基準に違和感を覚えるケースがありました。具体的には、画像上明らかな他覚的所見が認められるものの、残った障害は比較的軽微と思われるケースです。

 高次脳機能障害の等級は、労災保険の認定基準上、@意思疎通能力、A問題解決能力、B作業負荷に対する持続力・持久力、C社会行動能力の4つの能力(4能力)の喪失の程度に着目して評価し、複数の障害が認められるときには、原則として障害の程度の最も重いものに着目して評価がなされることが規定されています。

 そして、12級と14級の各認定基準は、下記のように定められています。


  認定基準
12級

「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの」は、第12級の12に該当する。

  4能力のいずれか1つ以上の能力が「多少失われている」ものが該当する。

14級

通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの」は、第14級の9とする。

  MRI,CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のため「わずかな能力喪失が認められている」ものが該当する。

 

 この認定基準からは、事故当初画像上明らかな脳損傷(脳挫傷など)があり、重い高次脳機能障害があったものの、症状がよくなって症状固定の時点では4つの能力すべてについて「わずかに喪失」と主治医の先生が回答している場合、14級の認定でよいのか問題になり得ます。

 医師の回答上は、4つの能力すべてについて「多少喪失」よりも程度が軽い「わずかに喪失」に回答しているため、上記12級の基準は満たしていないことになります。しかし、画像により明らかな脳損傷が認められている場合には、上記14級の基準を満たしているとも言えません。

 

 このように、上記の認定基準では、症状固定時にも画像上明らかな脳損傷が残っているものの、高次脳機能障害の症状は比較的軽微な場合に、すっきり当てはまる等級がないことになります。

 労災保険の認定基準は基本的には、自覚症状主体の場合には14級、自覚症状を裏付ける画像所見等がある場合には12級以上の認定がされることを想定していると思いますので、能力喪失の程度についてあらためて十分に精査し、他の障害の認定基準との整合性・脳の損傷という受傷内容の重さ・画像所見も勘案して、上記のようなケースでは12級が認定されるべきと思われます。

 なお、自賠責保険では高次脳機能障害の等級については、労災の認定基準に基づき認定される等級を参考にしつつ、独自の基準で認定していると思いますが、上記のケースでは9級の認定になると思われます。


 労働基準監督署に提出する診断書等の内容はとても重要ですので、できるだけ提出前にご家族等にご確認いただくことも大切になります。


(平成28年7月1日作成)




自賠責保険の後遺障害等級の併合方法

 自賠責保険では、系列の異なる複数の後遺障害が残った場合、最終的に1つの等級を定める必要があり、そのために「併合」という取扱いがなされます。

 下記では、併合に関するルールと基本的な例をまとめています。

この記事の目次
1.併合のルール
(1)別表第二5級以上の後遺障害が2つ以上残存する場合
(2)別表第二8級以上の後遺障害が2つ以上残存する場合
(3)別表第二13級以上の後遺障害が2つ以上残存する場合
(4)上記(1)〜(3)以外の場合
(5)同一系列内に複数の障害が残った場合

2.併合ルールの例外
(1)1つの障害を複数の観点で評価しているに過ぎないと判断される場合
(2)1つの後遺障害に他の後遺障害が通常派生する関係にある場合
(3)組み合わせ等級が定められている場合
(4)併合の結果、障害の序列を乱す場合
(5)総合評価をする場合

3.留意点

 

1.併合のルール

(1)別表第二5級以上の後遺障害が2つ以上残存する場合 

 ⇒ 重い方の等級を3つ繰り上げる

(例)高次脳機能障害(5級2号)と右下肢を足関節以上で失った(5級5号)場合

 ⇒併合2級(5級を3つ繰り上げる)

 

(2)別表第二8級以上の後遺障害が2つ以上残存する場合

 ⇒ 重い方の等級を2つ繰り上げる

(例)右上肢を手関節以上で失い(5級4号)、左手関節可動域制限(8級6号)が残った場合

 ⇒併合3級(5級を2つ繰り上げる)

(例)頸髄損傷による麻痺(7級4号)と右上肢に偽関節(8級8号)が残った場合

 ⇒併合5級(7級を2つ繰り上げる)

 

(3)別表第二13級以上の後遺障害が2つ以上残存する場合

 ⇒ 重い方の等級を1つ繰り上げる

(例)頸髄損傷による麻痺(9級10号)と右膝関節可動域制限(12級7号)が残った場合

 ⇒併合8級(9級を1つ繰り上げる)

(例)右手首可動域制限(12級7号)と右肘関節可動域制限(12級6号)が残った場合

 ⇒併合11級(12級を1つ繰り上げる

 

(4)上記(1)〜(3)以外の場合 

 ⇒ 最も重い等級を採用する

(例)頚部神経症状(12級13号)と腰部神経症状(14級9号)が残った場合

 ⇒併合12級(重い方の12級を採用)

(例)頚部神経症状(14級9号)、腰部神経症状(14級9号)と右肩関節痛(14級9号)が残った場合

 ⇒併合14級

 

(5)同一系列内に複数の障害が残った場合

 ⇒併合の方法を用いて一つの等級を定める(相当)

 併合は上記のとおり、系列の異なる複数の後遺障害が残った場合に適用されますが、同一の系列内に複数の後遺障害が残った場合には、併合の方法を用いて一つの等級を定めます(「相当」といいます)。さらに他の系列にも後遺障害が残っている場合には、併合をします。


 なお、下記の障害が同一部位に残った場合には、系列は異なりますが、同一の系列とみなした取扱いがなされます。 

@両眼球の視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害の各相互間 

A同一上肢の機能障害と手指の欠損又は機能障害 

B同一下肢の機能障害と足指の欠損又は機能障害

(例)頸髄損傷による神経症状(12級13号)、右膝関節可動域制限(12級7号)、右足関節可動域制限(12級7号)が残った場合

 ⇒併合10級

 上記の併合ルール(3)を適用すると12級を1つ繰り上げて併合11級となりますが、同じ右下肢に複数の機能障害があるため、右膝関節可動域制限12級7号と右足関節可動域制限12級7号を併合の方法を用いて11級相当とし、その後で頸髄損傷12級と併合し重い方の11級を1つ繰り上げて併合10級とします。

 

2.併合ルールの例外

 系列の異なる複数の後遺障害が残った場合でも、上記の併合ルールを適用しない例外的なケースとして、下記が挙げられます。

 

(1)1つの障害を複数の観点で評価しているに過ぎないと判断される場合

 ⇒上位の等級を認定する

(例)大腿骨に変形を残した(12級8号)結果、同一下肢を1cm短縮した(13級8号)場合 

 ⇒上位等級である12級8号認定

 

(2)1つの後遺障害に他の後遺障害が通常派生する関係にある場合

 ⇒上位の等級を認定する

(例)1上肢に偽関節を残す(8級8号)とともに、当該箇所に頑固な神経症状を残した(12級13号)場合

 ⇒上位等級である8級8号認定 

 

(3)組み合わせ等級が定められている場合

 ⇒後遺障害等級表に定めれた等級を認定する

 複数の後遺障害が残った場合でも、後遺障害等級表に組み合わせ等級として定められている場合には、併合を行わず、後遺障害等級表に定められた等級を認定します。

(例)右下肢を膝関節以上で失い(4級5号)、左下肢を膝関節で失った(4級5号)場合

 ⇒「両下肢をひざ関節以上で失ったもの」として1級5号認定

 

 (4)併合の結果、障害の序列を乱す場合

 ⇒序列の調整を行う

 複数の後遺障害が残り、上記1の併合ルールにしたがって併合した結果、障害の序列を乱す場合があります。このような場合には、併合した等級をそのまま採用せず、等級の調整(修正)が行われます。


(例)右上肢を手関節以上で失い(5級4号)、左上肢を肘関節以上で失った(4級4号)場合

 ⇒併合2級認定

 5級以上の後遺障害が複数ありますので、上記1の併合ルール(1)を適用すると、重い方の等級4級を3つ繰り上げて併合1級になるところです。しかし、これらの障害の程度は、「両上肢をひじ関節以上で失ったもの」(1級3号)と比べると、その程度には達していませんので、1等級軽い併合2級に修正されて認定されます。

 

(例)右手の「中指の用を廃し」(12級10号)、かつ「小指を失った」(第12級9号)場合

 ⇒10級相当認定

 同一系列に属する13級以上の後遺障害が複数ありますので、併合の方法(上記1の併合ルール(5)と(3))を用いて11級相当になるところです。しかし、これらの障害の程度は、「1手のおや指以外の2の手指の用を廃したもの」(10級7号)より重く、「1手のおや指以外の2の手指を失ったもの」(9級12号)より軽いので、10級相当と認定されます。

 

(※)労災保険の認定基準では、原則として欠損の障害を労働能力の完全な喪失と捉えて同一部位の機能障害よりも重く評価しています。このため、同一の上肢(下肢)・手指(足指)に複数の欠損・機能障害が残った場合には、併合することで序列が乱れ等級が調整される可能性が出てきます。

 

(5)総合評価をする場合

 @9級以上の等級が認定される中枢神経系の障害(高次脳機能障害または脊髄損傷による神経症状)とともに、末梢神経による障害も残った場合

 ⇒末梢神経による障害を含めて総合的に障害程度を評価する

(例)高次脳機能障害9級10号、頚部神経症状14級9号、腰部神経症状14級9号に相当する障害が残った場合

 ⇒神経症状を総合的に評価して9級10号認定(併合9級とはしない)


 A脳外傷により高次脳機能障害と麻痺等の身体性機能障害が残った場合

 ⇒総合的に障害程度を評価する

(例)高次脳機能障害9級10号、右上肢の軽度の単麻痺9級10号に相当する障害が残った場合

 ⇒神経症状を総合的に評価して7級4号認定(併合8級とはしない)


 B脊髄損傷に伴う胸腹部臓器の障害や脊柱の障害による障害等級が麻痺により判断される障害の等級よりも重い場合

 ⇒総合的に障害程度を評価する

(例)脊髄損傷による麻痺9級10号、脊柱の運動障害8級2号に相当する障害が残った場合

 ⇒2つの障害を総合的に評価して7級4号認定(併合7級とはしない)


3.留意点

 後遺障害が複数残ったときには、基本的には上記の「併合」の取り扱いにより、最終的に1つの等級にします。ただ、同一上肢(下肢)の機能障害と指の欠損又は機能障害が残ったような場合には、併合等の処理がやや複雑になります。また、脳や脊髄の障害の場合には、末梢神経の障害も含めて総合評価がなされ、異議申立で後遺障害等級が変更されることも珍しくありません。このため、複数の後遺障害が残ったときは特に注意が必要と考えられます。

 

(平成29年4月4日作成)


【関連ページ】

◇後遺障害等級認定のポイント

◇損害保険料率算出機構とは

◇後遺障害の等級認定に対する異議申立について

◇後遺障害診断書の作成依頼のポイント

障害補償給付(障害給付)と障害年金の調整方法

 労災事故(業務災害または通勤災害)の怪我で一定の障害が残った場合に、労災保険の障害補償給付(障害給付)と国民年金・厚生年金の障害年金のそれぞれに申請の手続きを行い、両方から支給がなされることがあります。しかし、両方から支給される場合でも一定の調整が行われます。

 このときの支給の調整方法についてまとめています。

 

 1.両方から年金が支給される場合

 労災保険と国民年金・厚生年金の両方にそれぞれ請求手続きを行って、その結果両方から年金が支給される場合、労災保険からの年金については、下記のとおり減額されて支給されます。

 (労災保険では7級〜1級のいずれかの等級が認定された場合に、国民年金・厚生年金では3級〜1級のいずれかの等級が認定された場合に、それぞれ年金が支給されます)

 

 @障害厚生年金と障害基礎年金の両方支給・・・・労災からの年金は73%の支給(27%減額)

 A障害厚生年金のみ支給・・・・労災からの年金は83%の支給(17%減額)

 B障害基礎年金のみ支給・・・・労災からの年金は88%の支給(12%減額)

 

2.労災は障害補償給付(障害給付)、厚生年金は年金に該当せず障害手当金の場合

 労災保険は障害補償給付(障害給付)の対象になり、厚生年金は3級〜1級に該当せず、障害手当金の基準に該当する場合には、支給調整の規定により、厚生年金からの障害手当金は支給されないこととされています。

 厚生年金からも支給を受けるには、3級以上の認定を受ける必要があります(障害手当金の認定に納得できない場合には、不服申立手続を行うことができます)。

 

 

【関連ページ】

 ◇労災保険の障害(補償)給付の基礎知識

 ◇障害年金の基礎知識

労災保険と自賠責保険の後遺障害認定手続の特徴・比較

 労災保険の後遺障害認定は、書面審査が中心ですが、労災の顧問医の面接や主治医等に対する医療照会も通常行われ、最初の請求の認定結果が出るのに3〜4ヶ月ほどはかかると思います。

 この認定に対する不服申立(審査請求・再審査請求)の審査はかなり厳密で、等級の変更は容易になされません。労災保険では最初の認定に力を入れていることがうかがわれます。

 これに対して自賠責保険の後遺障害認定は、書面審査だけで顧問医による面接はなく、医師への医療照会も最初の審査では通常行われず、最初の請求は1ヶ月ほどで認定結果が出ます(症状が重い場合等は初回から医師に医療照会を行い、結果が出るまでに半年以上かかることもあります)。

 自賠責保険の異議申し立ての審査も厳密ですが、労災保険よりも等級変更の可能性は高いと思われます。その理由として、自賠責保険は最初の認定結果が出るまでの期間は上記のとおり通常1か月ほどですので、この審査期間からすると、ある程度の異議申し立てがなされること、また、一定の等級変更がなされる可能性があることが想定されていると考えられます。

 労災保険は最初の認定で十分な時間と労力をかけて検討していることがうかがわれ、不服申立があっても簡単には変更されませんので、最初の審査の段階から適正な認定を優先していることがうかがわれます。

 これに対して自賠責保険の方は、大量の案件をある程度定型的に迅速に認定することを優先していることがうかがわれます。

 労災保険は最初の認定の重みが大きいと言えますが、自賠責保険も最初の請求の段階からできるだけきちんとした後遺障害診断書を医師に作成していただくことがとても大切になります(異議申し立て等に影響してくることがあります)。


  労災保険 自賠責保険
主な根拠法 労働者災害補償保険法 自動車損害賠償保障法                
請求先 労働基準監督署 保険会社
認定機関(初回) 同上 損害保険料率算出機構
医師面談 あり(原則) なし
結果が出るまでの期間(初回) 3ヶ月以上 1〜2ヶ月程度
認定基準 障害認定基準(労災補償障害認定必携) 労災保険に準拠
回答文書(初回) ハガキで結論のみ(理由の記載なし) 文書で結論・理由あり
不服申立の回数 審査請求と再審査請求の2回のみ 特に制限なし。但し、(財)自賠責保険・共済紛争処理機構で回答が出た後は不服申立できず。
不服申立の期限 審査請求は3ヶ月以内、再審査請求は2ヶ月以内 特になし(時効はあり)
請求先 審査請求は労働者災害補償保険審査官、再審査請求は労働保険審査会 保険会社または(財)自賠責保険・共済紛争処理機構
認定機関 同上 損害保険料率算出機構または(財)自賠責保険・共済紛争処理機構
回答文書 あり(審査請求では決定書、再審査請求では裁決書) あり
審査の内容 申立の内容以外も審査されることあり 申立の内容のみ
等級が下がるケース あり。但し、不利益変更禁止の規定により労基署の等級を維持 なし
結果が出るまでの期間 3ヶ月以上 保険会社は2ヶ月程度、(財)自賠責保険・共済紛争処理機構は4ヶ月程度
以上
   
(平成28年1月21日作成)

労災保険の後遺障害認定時期と留意点

 労災保険の後遺障害認定は、基本的には主治医の先生が作成する症状固定日における診断書の記載内容に基づいて行われます

 この時、症状固定後に受けた検査の結果等は、労災保険の後遺障害認定では一切考慮されないことがあることに注意が必要です。
 例えば、症状固定後に、症状を裏付けるための画像の検査を新たに受けて資料として提出しても、症状固定後の検査ため審査の対象にしない(受理しない)という対応がなされることがあります。
 このため、労災保険の後遺障害認定に必要と思われる検査等は、症状固定前にできる限り受けておくことが望ましいことになります。
 ただ、このような労災保険の対応は、労災保険の認定基準(障害認定必携)の症状固定に関する規定からすると、疑問があります。
 労災保険の認定基準上、症状固定について、「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したときをいう」と定められています。
 この意味からすると、症状固定とは、症状が最終の状態に達しており、その後の状態は大きく変わらないことを前提にしていることになります。
 症状固定後に行った検査であっても、最終の状態時の検査であることに変わりありませんので、障害の原因や程度をより明確に把握できる可能性のある資料であれば、症状固定後に検査が行われたというだけで審査の対象から除外する理由はないように思われるからです。
 自賠責保険の後遺障害認定では、症状固定後に行った検査であるという理由だけで、審査の対象から除外する扱いはされていないと思います。
 このように、労災の対応にはやや疑問があるものの、症状固定前にできる検査等はできるだけ受けておくことが望ましいことになります。
 なお、労災事故が交通事故の場合、症状固定の考え方は労災保険も自賠責保険も同じですので、それぞれの保険の診断書に記入される症状固定日の日付は、同じ日付になることが多いと思います。


以上

(平成28年3月18日作成)


労災保険の後遺障害等級認定理由の確認方法

 労災保険から後遺障害等級の認定結果が届いたときに、認定の理由を確認したいことがあります。確認の方法として、労働基準監督署に電話等で確認する方法と都道府県労働局に情報開示請求を行う方法が挙げられます。


1.労働基準監督署への電話等の確認

 労働基準監督署に障害(補償)給付の請求をした場合、その結果はハガキ(支給決定通知兼支払振込通知)で届きます。ハガキには、担当の労働基準監督署名と電話番号、また、不明の点は照会してくださいという記載がありますので、ご本人がお電話しますと、認定内容や認定理由の概要を確認できると思います。

 認定を受けた労働基準監督署に訪問できるようでしたら、事前に連絡のうえ訪問しますと、認定理由等の説明を受けることができます。ただ認定資料の写しは入手できないと思います。


2.都道府県労働局への情報開示請求

 労働基準監督署で障害等級の認定のために調査した書類(調査結果復命書)を入手するには、都道府県労働局に情報開示請求という手続きが必要になります。不服申し立てをご検討の場合には、お手間でも、入手して内容を確認された方が良いと思います。  

 情報開示請求の手続きは、下記の通りです。なお、手続きは郵送と直接出向いて行う方法がありますが、ここでは郵送の方法を記しています。

(1)保有個人情報開示請求書の入手

 厚生労働省のホームページから「保有個人情報開示請求書」の用紙を印刷し、必要事項を記入します(都道府県労働局などでも入手できます)。

(2)「保有個人情報開示請求書」への記入

 宛先は、行政機関の長あてとなります。例えば、都内の労働基準監督署で認定を受けた場合には、「東京労働局長」と記入します。

 「開示を請求する保有個人情報」の欄には、「平成○○年○○月○○日付けで ○○労働基準監督署長が私の障害補償給付支給請求に係る決定を行った際に○○労働基準監督署で作成された「調査結果復命書」(添付資料すべて含む)」などと記入します。

 記入例については、福岡労働局のホームページに詳しく説明されています。


(3)本人確認書類の用意

 情報開示請求は、原則として本人でないとできません。本人確認書類として、運転免許証・健康保険被保険者証の写しなどの提出が求められます。郵送で開示請求をする場合には、住民票の写しの添付も必要となります。

 本人確認書類の内容は、「保有個人情報開示請求書」の「4.本人確認等」の欄に記載されています。

(4)収入印紙(300円分)の用意

 手数料は、1件300円とされています。300円分の収入印紙を「保有個人情報開示請求書」の「3.手数料」の所定の位置に貼ります。


(5)各都道府県労働局の担当部署宛に送付

 各都道府県労働局(都内の労働基準監督署が担当でしたら、東京労働局になります)の担当部署である総務部総務課あてに、収入印紙を貼った「保有個人情報開示請求書」と本人確認書類を送付します。

 

東京労働局/埼玉労働局/神奈川労働局/千葉労働局/栃木労働局/群馬労働局/長野労働局


(6)開示決定通知書等の受領と申出書の提出

 開示請求書を送付してから1ヶ月ほど経過後に、開示請求を行った情報の開示が決定した旨の書類(開示決定通知書)が送られてきます。

 「保有個人情報の開示の実施方法等申出書」という書類も添付されていますので、希望する開示方法等を記入して、再度都道府県労働局に送付します。

(7)開示書類が届く

 申出書を送付してから2週間ほどで開示書類が届きますので、内容を確認します。

 

 上記のとおり、情報開示請求を郵送で行う場合、開示書類が送付されるまでに1ヶ月半ほどかかると思います。

 不服申し立て(審査請求)を行う場合には所定の期限がありますので、先に審査請求書を送付して不服申し立ての意思があることを伝えることで、期限の問題をクリアしておくことが安心と思います。


(平成28年12月27日作成)


労災保険のアフターケア制度の基礎知識

 労災保険では、自賠責保険と異なり、症状固定となった後も治療等を続けることができることがあります。これはアフターケア制度と言われています。下記では、アフターケア制度の概要についてまとめています。

 

1.アフターケア制度とは

 アフターケア制度とは、労災保険の社会復帰等促進事業の一つとして実施されており、被災労働者の方の労働能力を維持し円滑に社会復帰することを目的としています。

 

2.アフターケア制度の対象疾病など

(1)対象となる疾病

 アフターケア制度の対象となる疾病は、次の20とされています。

   せき髄損傷、頭頸部症候群等、尿路系障害、慢性肝炎、白内障等、振動障害、大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼・脱臼骨折、人工関節・人工骨頭置換、慢性化膿性骨髄炎、虚血性心疾患、尿路系腫瘍、脳の器質性障害、外傷による末梢神経損傷、熱傷、サリン中毒、精神障害、循環器障害、呼吸機能障害、消化器障害、炭鉱災害による一酸化炭素中毒


(2)対象となる方・措置範囲・有効期間

 一部の疾病について、対象となる方、措置の範囲と有効期間についてまとめています。

 

  対象となる方    措置範囲
有効期間
せき髄損傷 1.せき髄損傷で障害等級3級以上の障害(補償)給付を受けている、または受けると見込まれる方(症状固定した方)のうち、医学的に早期にアフターケアの実施が必要と認められる方

2.障害等級4級以下の障害(補償)給付を受けている方で、医学的に特に必要があると認められる方
1.診察
 月に1回程度、必要に応じて

2.保健指導
 診察の都度、必要に応じて

3.保健のための措置
 褥瘡措置、尿路措置、薬剤の支給

4.検査(診察の結果、必要に応じて)
 尿検査、血液検査、画像検査など
1.新規交付
  3年間

2.更新による再交付
  5年間
頭頸部外傷症候群 1.@頭頸部外傷症候群、A頸肩腕障害、B腰痛で障害等級9級以上の障害(補償)給付を受けている、または受けると見込まれる方(症状固定した方)で、医学的に早期にアフターケアの実施が必要と認められる方

2.障害等級10級以下の障害(補償)給付を受けており、医学的に特に必要があると認められる方
1.診察
 月に1回程度、必要に応じて。

2.保健指導
 診察の都度、必要に応じて

3.保健のための措置
 薬剤の支給

4.検査
 X線検査など(1年に1回程度)
1.新規交付
  2年間

2.更新による再交付
  なし
大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼骨折・脱臼骨折 1.大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼骨折・脱臼骨折で障害(補償)給付を受けている、または受けると見込まれる方(症状固定した方)のうち、医学的に早期にアフターケアの実施が必要と認められる方

2.障害(補償)給付を受けていない方で、医学的に特に必要があると認められる方
1.診察
 3〜6月に1回程度、必要に応じて。

2.保健指導
 診察の都度、必要に応じて

3.保健のための措置
 薬剤の支給

4.検査
 X線検査など(3〜6ヶ月に1回程度)
1.新規交付
  3年間

2.更新による再交付
  1年間
人工関節・人工骨頭置換 人工関節及び人工骨頭を置換して障害(補償)を受けている、または受けると見込まれる方(症状固定した方)のうち、医学的に早期にアフターケアの実施が必要と認められる方 1.診察
 原則、3〜6月に1回程度、必要に応じて。

2.保健指導
 診察の都度、必要に応じて

3.保健のための措置
 薬剤の支給

4.検査
 X線検査など(3〜6ヶ月に1回程度) 
1.新規交付
  3年間

2.更新による再交付
  5年間
脳の器質性障害 1.@外傷による脳の器質的損傷、A一酸化炭素中毒(炭鉱災害によるものを除く)、B減圧症、C脳血管疾患、D有機溶剤中毒の傷病に由来する脳の器質性障害のため障害等級9級以上の障害(補償)給付を受けている、または受けると見込まれる方(症状固定した方)で、医学的に早期にアフターケアの実施が必要と認められる方

2.障害等級10級以下の障害(補償)給付を受けている方で、医学的に特に必要があると認められる方
1.診察
 原則、月に1回程度、必要に応じて。

2.保健指導
 診察の都度、必要に応じて

3.保健のための措置
 精神療法・カウンセリング、褥瘡措置、尿路措置、薬剤の支給

4.検査
 脳波検査、画像検査など(1年に1回程度)
1.新規交付
 2年間(左記@Aの障害)または3年間(左記BCDの障害)

2.更新による再交付
  1年間
外傷による末梢神経損傷  外傷による末梢神経損傷に起因し、症状固定後も激しい疼痛が残存し、障害等級12級以上の障害(補償)給付を受けている、または受けると見込まれる方(症状固定した方)で、医学的に早期にアフターケアの実施が必要と認めらる方  1.診察
 原則、月に1〜2回程度、必要に応じて。

2.保健指導
 診察の都度、必要に応じて

3.保健のための措置
 注射、薬剤の支給

4.検査
 X線検査など(必要に応じて1年に2回程度)
1.新規交付
 3年間

2.更新による再交付
 1年間

 

3.手続き

(1)健康管理手帳の交付申請

 アフターケアの手続きは、「健康管理手帳申請書」を支給決定を受けた労基署を管轄する都道府県労働局長に提出し、一定の要件を満たしている場合には、「健康管理手帳」の交付が受けられます。

 

(2)病院等への受診

 アフターケアは、労災病院、労災の規定により指定された病院・診療所・薬局などで受けることができます。診察の際は、その都度、健康管理手帳を提示する必要があります。

 

(3)健康管理手帳の更新

 健康管理手帳には、上記の表のように、傷病別、新規・更新別に有効期間があります。 

 有効期間経過後もアフターケアの必要がある場合には、健康管理手帳の更新の申請を行うことが必要になります。有効期間満了の1か月前までに、「健康管理手帳更新・再交付申請書」に所定の書式の診断書(診断書の提出が不要な疾病もあります)を添えて、交付申請をした都道府県労働局長に申請を行います。

 

毎月勤労統計の修正に伴う労災保険の追加給付

 厚生労働省の行う毎月勤労統計調査の結果は、労災保険や雇用保険等の給付に影響を与えています。

 労災保険では、労災年金と休業(補償)給付の額を計算する際に考慮される、スライド率と最低保障額に影響しています。

 今般、毎月勤労統計調査の調査方法に問題があることが判明し、再集計・再計算により、これまで労災保険から給付を受けていた方、現在給付を受けている方に対して、追加給付されることとなりました。

 労災保険の追加給付については、現時点(平成31年1月17日時点)で、厚生労働省・労働局等により、下記のような案内がなされています。

 

1.追加給付される可能性のある方

 平成167月以降に、下記の給付を受けた方が追加給付の可能性があります。

 傷病(補償)年金、障害(補償)年金、遺族(補償)年金、休業(補償)給付、 傷病特別年金、障害特別年金、遺族特別年金、遺族特別一時金、休業特別支給金 等 

 

2.手続き

 追加給付される方のみ、住所にハガキ等で連絡の予定(詳細は今後厚生労働省のホームページで案内の予定)とされています。

 

3.追加給付額(概算)

 追加給付額(平均額)は、下記のとおり見込まれています。

 ・年金給付(特別支給金を含む)→ 1人あたり平均約9万円
 ・休業補償(休業特別支給金を含む)→ 1人1ヶ月あたり平均約300 円

 

4.相談窓口

 労災保険の給付について疑問がある場合には、下記の専用ダイヤルが設けられています。

  労災保険追加給付問い合わせ専用ダイヤル 0120-952-824

 

 

【関連ホームページ】

毎月勤労統計調査に係る雇用保険、労災保険等の追加給付について(厚生労働省ホームページ)

◇労災保険を受給中・受給されていた方へ(厚生労働省ホームページ)

◇労災保険の給付に関する対応指針(厚生労働省ホームページ)

◇労働者災害補償保険の追加給付に関するQ&A(厚生労働省ホームページ)


(平成31年1月17日作成)