労災保険の後遺障害認定時期と留意点

 労災保険の後遺障害認定は、基本的には主治医の先生が作成する症状固定日における診断書の記載内容に基づいて行われます

 この時、症状固定後に受けた検査の結果等は、労災保険の後遺障害認定では一切考慮されないことがあることに注意が必要です。
 例えば、症状固定後に、症状を裏付けるための画像の検査を新たに受けて資料として提出しても、症状固定後の検査ため審査の対象にしない(受理しない)という対応がなされることがあります。
 このため、労災保険の後遺障害認定に必要と思われる検査等は、症状固定前にできる限り受けておくことが望ましいことになります。
 ただ、このような労災保険の対応は、労災保険の認定基準(障害認定必携)の症状固定に関する規定からすると、疑問があります。
 労災保険の認定基準上、症状固定について、「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したときをいう」と定められています。
 この意味からすると、症状固定とは、症状が最終の状態に達しており、その後の状態は大きく変わらないことを前提にしていることになります。
 症状固定後に行った検査であっても、最終の状態時の検査であることに変わりありませんので、障害の原因や程度をより明確に把握できる可能性のある資料であれば、症状固定後に検査が行われたというだけで審査の対象から除外する理由はないように思われるからです。
 自賠責保険の後遺障害認定では、症状固定後に行った検査であるという理由だけで、審査の対象から除外する扱いはされていないと思います。
 このように、労災の対応にはやや疑問があるものの、症状固定前にできる検査等はできるだけ受けておくことが望ましいことになります。
 なお、労災事故が交通事故の場合、症状固定の考え方は労災保険も自賠責保険も同じですので、それぞれの保険の診断書に記入される症状固定日の日付は、同じ日付になることが多いと思います。


以上

(平成28年3月18日作成)