むち打ちの治療費打ち切り

 

 むち打ちによる症状で苦しんでいらっしゃる方は多いと思います。

 しかし、損保会社によっては治療を開始して3ヶ月くらいの段階で、症状の重さにかかわらず、治療費の支払いを打ち切るような話しを進めてくることがあります。

 確かに私が実際に示談交渉をしていたときには、事故から2〜3ヶ月経過した段階で「症状は多少残っているが、仕事は忙しいし、もう示談をしてすっきりしたい」などと被害者の方から言ってこられたケースも結構あり、意外と短期間で解決するものだと思ったことがありました。

 損保業界で使用している医学知識を身につけるためのテキストがありますが、ここでも、頚椎捻挫の約8割は3ヶ月以内に治癒する、3ヶ月が基準となるのは軟部組織の修復、治癒過程は8週間程度(医学的事実)である旨説明されています。

 また、各社の勉強会や講演会でもこのような説明がなされることがあります。この知識は損保業界で常識になっていますので、「3ヶ月」が1つの区切りの期間になっているのだと思います。

 しかし、これはあくまでも統計的なものであり、個人個人によって症状に違いがあるのは言うまでもありません。

 お互いの車種や衝突時の速度、衝突の角度、事故時の頭の位置、シートベルトの装着有無、ブレーキの状態のほか、被害者の方の年齢や体型、もともとの首の骨の状態などが症状の重さや経過に影響を与えますが、これらは被害者お一人お一人によって異なりますので、症状や治療を要する期間に違いが出てくるのは当然といえます。

 現状では、被害者の方は、治療費の打ち切りを受けた後も、医師等の指示に基づいて自費でしっかり治療をして、示談のときに精算をすることにならざるを得ません。

 ただ、むち打ち等の賠償は、被害者の方があまりストレスを受けず治療を受けて一定の賠償金をもらえるように、また、損保会社の仕事も簡便になるように、ある程度定額化することが望ましいような感じがします。

 

 

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