〒165-0031 東京都中野区上鷺宮3-8-22 B303
営業時間 | 9:00~19:00 |
---|
定休日 | 日・祝日 |
---|
交通事故では骨折等により関節に機能障害が残ってしまうことがあります。
ここでは、関節機能障害の評価方法について、自賠責保険の後遺障害等級認定で準拠している労災保険の認定基準に基づいてまとめています。
1.関節機能障害の評価方法のポイント
(1)主要運動の採用と健側との比較(原則)
関節機能障害は、原則として、受傷した関節の主要運動(日常の動作にとって最も重要なもの)の可動域制限の程度を、健側(怪我のない方)の可動域角度と比較して評価されます。
せき柱(頚部)、肩関節、股関節のように主要運動が複数ある場合、いずれか一つの可動域が健側の1/2以下または3/4以下に制限されていれば、関節機能障害として評価されます。
(2)参考可動域角度との比較(例外)
上記(1)のとおり、関節可動域の測定結果は健側と比較するのが原則ですが、健側にも障害がある場合やせき柱の障害の場合等には、参考可動域角度と比較して評価されます。
(3)同一面の運動は可動域角度を合計(原則)
屈曲と伸展のように同一面にある運動については、原則として、両者の可動域角度を合計した値をもって関節可動域制限の程度が評価されます(下表では「屈曲+伸展」というように「+」で記しています)。
例外として、肩関節の屈曲(主要運動)と伸展(参考運動)があり、これらは合計せず、それぞれの角度をみます。
(4)他動値の採用(原則)
関節可動域は、原則として、他動運動による測定値(他動値)が採用されます。
例外として、麻痺などの場合には自動運動による測定値(自動値)が参考にされます。
部位 | 主要運動 | 参考運動 |
せき柱(頚部) | ①屈曲+伸展 ②回旋 | 側屈 |
せき柱(胸腰部) | 屈曲+伸展 | ①回旋 ②側屈 |
肩関節 | ①屈曲 ②外転+内転 | ①伸展 ②外旋+内旋 |
ひじ関節 | 屈曲+伸展 | |
手関節 | 屈曲+伸展 | ①橈屈 ②尺屈 |
前腕 | 回内+回外 | |
股関節 | ①屈曲+伸展 ②外転+内転 | 外旋+内旋 |
ひざ関節 | 屈曲+伸展 | |
足関節 | 屈曲+伸展 | |
母指 | ①屈曲+伸展 ②橈側外転 ③掌側外転 | |
手指及び足指 | 屈曲+伸展 |
2.参考運動が評価されるケース
主要運動の可動域が、わずかな差で健側の1/2以下または3/4以下に制限されていない場合には、参考運動の可動域(上記1の表参照)もみて評価されます。
(1)上肢・下肢の3大関節
主要運動の可動域が健側の可動域の1/2または3/4をわずかに(※1)上回る場合、参考運動が1/2以下または3/4以下に制限されているときは、関節の著しい機能障害または機能障害と認定されます。
(2)せき柱(頚椎または胸腰椎)
主要運動の可動域が参考可動域角度の1/2をわずかに(※1)上回る場合、参考運動が1/2以下に制限されているときは、頚椎または胸腰椎の運動障害と認定されます。
(※1)「わずかに」とは、原則5度とされています。
ただし、次のa〜dの主要運動について「せき柱の運動障害」または「関節の著しい機能障害」にあたるかどうかを判断する場合は10度とされています。
a. せき柱(頚部)の「屈曲+伸展」、「回旋」 b. 肩関節の「屈曲」、「外転」 c. 手関節の「屈曲+伸展」 d. 股関節の「屈曲+伸展」 |
(※2)参考運動が複数ある関節(脊柱、肩、手)は、いずれか一つが上記のとおり制限されていれば評価されます。
3.その他
関節の強直とは、関節の完全強直もしくはこれに近い状態にあるものをいいます。
「これに近い状態」とは、関節可動域が原則として健側の関節可動域の10%程度以下に制限されているものをいいます。さらに「10%程度」とは健側の関節可動域角度(せき柱では参考可動域角度)の10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角度とします。
関節可動域が10度以下に制限されている場合はすべて「これに近い状態」に該当するものとして扱うこととされています。
(令和5年10月7日更新)
【関連ページ】
交通事故では骨折などにより関節に可動域制限の障害(関節機能障害)が残ってしまうことがあります。
このときの主な留意点として、関節可動域の測定方法と測定漏れ・記載漏れが挙げられます。
1.関節可動域の測定方法
関節可動域の測定結果は、後遺障害等級認定に大きな影響があります。原則として、健康な側と比較して他動値で4分の3以下に制限されていることが後遺障害認定の要件とされていますので、たとえ1度足りないだけで後遺障害が認定されないことがあり得ます。このため、病院での測定結果はとても大切になります。
関節可動域の測定については、労災保険の認定基準で、「日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会により決定された『関節可動域表示ならびに測定法』に準拠して定めた『第2 関節可動域の測定要領』に基づき行うこととする」と記載されており、「角度計」を使用して測定(通常5度刻み)することとされてています。
しかし実際のところ、医師は角度計を使わず、その経験に基づいて感覚で測定していることが多い印象があります。また、測定の際に、関節をかなり強く曲げられたとよく耳にします。
このように関節可動域の測定は、実際のところ医師の感覚的なところがあり、わずかな違いで認定に違いが出てくることもあります。できれば日頃から医師とは良好な関係を保っておかれると色々な面で良いように思います。わずかな違いの場合は、測定し直してもらえる可能性もあります。
ただ、後遺障害認定の実務では、後遺障害診断書に記載される関節可動域の測定結果だけでなく、途中の経過も見られることがあります。仮に症状固定の時に12級程度の可動域制限が認められても、それまでの測定結果と比べて大きく悪化している場合には、その医学的理由が求められたり、経過が不自然として後遺障害と認められないこともあります。
2.関節可動域の測定漏れ・記載漏れ
関節可動域制限が残っていても、医師が全てまたは一部について測定をしていないことも珍しくありません。特に手指と足指、肩の可動域(肩の複数の運動のうち一部のみ測定)に漏れが見られることがあります。
手指や足指を骨折して可動域制限が残ったときには可動域の測定がされることが多いと思いますが、手首の骨折や下腿骨の骨折で神経を損傷したようなときには手指や足指の可動域を測定しないこともあります。
このため、もし関節の動きが悪いようでしたら、早めに医師にお話しして可動域を測定いただいて、後遺障害診断書にも測定結果を記載していただいた方が良いといえます。
(平成26年4月7日作成、令和5年10月7日更新)
【関連ページ】
営業時間:9:00~19:00
定休日:日・祝日
交通事故を中心に扱う社会保険労務士行政書士事務所です。
自賠責保険の有無責・後遺障害等級認定実務経験、損害保険会社での示談交渉・保険金支払の実務経験、開業後の長年のサポート経験を生かして、事故でお困りの方が適正な後遺障害等級認定を受けられるように全力でサポートいたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。
対応エリア | いずれの業務も全国対応しております |
---|
お電話でのお問合せ・無料相談
メールでのお問合せ・無料相談
<営業時間>
9:00~19:00
※日・祝日は除く