〒165-0031 東京都中野区上鷺宮3-8-22 B303

営業時間
9:00~19:00
定休日
日・祝日
03-3970-7433

E-mail:jiko_soudan@yahoo.co.jp

交通事故の過失割合・過失相殺

 損害賠償の制度は、被害者の方に発生した損害を加害者側に金銭で賠償させるというものです。しかし、被害者の方に発生した損害のすべてが賠償されず、損害賠償額から一定の割合・額が減額されることもあります。損害賠償額が減額される事由の1つが過失相殺です。

 ここでは、交通事故における過失相殺のポイントをまとめています。

 

1.過失相殺とは 

  過失相殺は、損害の公平な分担という観点から、被害者の過失を考慮して加害者の賠償額を減額する制度です。例えば、被害者の全体の損害額が1000万円で、被害者の過失割合が40%と認定された場合には、被害者は加害者に600万円しか請求できなくなります。このため、被害者の過失割合は賠償額に大きな影響を与えることになります。

 

2.交通事故における過失割合認定の基準

  交通事故における過失相殺は、実務上(裁判所、弁護士、保険会社等)、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 別冊判例タイムズ第16号」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に基づいて被害者と加害者の過失割合を認定して行っています。

  この基準は、「第1 歩行者と四輪車・単車との事故」、「第2 四輪車同士の事故」、「第3 単車と四輪車との事故」、「第4 自転車と四輪車・単車との事故」、「第5 高速道路上の事故」から構成されており、273の事故形態別に基本となる過失割合と修正要素が記載されています。例えば、交差点に直進四輪車と右折四輪車がともに青信号で進入して衝突した場合、基本となる過失割合は、「直進20:右折80」とされています。修正要素として右折車に「合図なし」、「徐行なし」等が定められており、これに該当する場合は直進車の過失が10%減らされるといった具合に適用されます。

  このため、まずは実際の事故形態が判例タイムズのどの図に該当するのか検討することが過失割合の交渉を進めていくときに重要になります。適用する図が異なれば、基本となる過失割合はもちろん修正要素にも違いが出てきますので注意が必要です。事故形態を特定するにあたっては、警察の作成する実況見分調書がもっとも重視されます。これは保険会社が弁護士を通じて取り寄せて過失割合を検討することがありますが、被害者の方も事故を扱った警察に送致日・送致番号・送致先検察庁を問い合わせて、送致先検察庁で謄写・閲覧することが可能です。

 

<別冊判例タイムズで使用されている用語の意味(抜粋)>

(1)道路に関する主な用語

  路側帯 路肩 横断歩道 横断歩道上、横断歩道の直近、横断歩道の付近

  自転車横断帯 幹線道路 歩車道の区別あり・なし

(2)行為主体等に関する主な用語

  歩行者 児童・高齢者、幼児・身体障害者等

(3)運転態様に関する主な用語

  駐車 停車 徐行 減速 一時停止 早回り右折、大回り右折

  直近右折、既右折 

(4)その他修正要素として用いられる主な用語 

  住宅・商店街等 著しい過失 重過失

 

3.過失相殺の方法

(1)任意保険

  任意対人賠償保険(一括払)では、認定され過失割合に基づいて厳格に過失相殺が行われます。ただし、過失相殺の結果、自賠責保険の認定額を下回る賠償をすることはできません。

  例えば、被害者の過失が30%、損害額が自賠責保険の基準で80万円、任意保険の基準で100万円の場合には、自賠責保険では下記のとおり被害者の方に重大な過失(7割以上の過失)が認められなければ減額されませんので、80万円全額が認定されることになりますが、任意保険では100万円×70%=70万円となり、自賠責保険の認定額を下回ってしまいますので、80万円が賠償額となります。

 

(2)自賠責保険 

  自賠責保険では被害者救済の観点から、被害者に7割以上の過失が認められる場合に、「重大な過失による減額」(重過失減額)として賠償額が減額されることになっています。重過失減額が適用される過失割合と減額割合は下表のとおりです。

  自賠責保険における重過失減額は、損害額が保険金額(死亡は3000万円、後遺障害は14000万円〜1475万円、傷害は120万円)に満たない場合は損害額から減額が行われ、損害額が保険金額以上となる場合は保険金額から減額が行われます。ただし、傷害による損害額が20万円未満の場合は減額されず、また、減額した結果20万円以下となる場合は20万円が認められます。

 

【自賠責保険の重過失減額】

 被害者の過失割合

 減額割合

 後遺障害または死亡

 傷害

 7割以上8割未満

 2割減額

 2割減額

 8割以上9割未満

 3割減額

 9割以上10割未満

 5割減額

 なお、自賠責保険では、上記の重過失減額のほか、被害者の方に既往症等があったため死因や後遺障害の発生原因が明らかでない場合など、受傷と死亡または後遺障害との間に因果関係があるのかどうか判断が困難な場合にも、下記のとおり、5割の減額がなされます。

 ①損害額が保険金額に満たない場合⇒損害額から5割の減額

 ②損害額が保険金額以上となる場合⇒保険金額から5割の減額

 

【関連する裁判例】  ※印は裁判所ホームページにリンクしています

◇過失相殺と損益相殺の先後関係 ※

 ◇被害者側の過失  

◇幼児の過失相殺  ※ 

【関連情報・コラム】 

◇交通事故の過失割合・過失相殺について 

お問合せ・無料相談はこちら

お電話でのお問合せ・無料相談はこちら
03-3970-7433

営業時間:9:00~19:00
定休日:日・祝日

交通事故を中心に扱う社会保険労務士行政書士事務所です。
自賠責保険の有無責・後遺障害等級認定実務経験、損害保険会社での示談交渉・保険金支払の実務経験、開業後の長年の実務経験を生かして、事故でお困りの方が適正な後遺障害等級認定を受けられるように全力でサポートいたします。

まずはお気軽にお問い合わせください。

対応エリア
いずれの業務も全国対応しております