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腹部臓器の障害の後遺障害認定基準

 交通事故では、腹部臓器への外傷により機能が低下して、後遺症として残ってしまうことがあります。

 ここでは、腹部臓器(食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、すい臓、ひ臓、腹壁瘢痕ヘルニア等)の障害に関する後遺障害等級の認定基準について、労災保険の認定基準に基づいて記載しています。 

 

【腹部臓器の障害の認定基準】 

1. 食道の障害

等級 後遺障害
9級

食道の狭さくによる通過障害を残すもの

(1)「食道の狭さくによる通過障害」

 「食道の狭さくによる通過障害」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

①通過障害の自覚症状があること

②消化管造影検査により、食道の狭さくによる造影剤のうっ滞が認められること

 

2. 胃の障害

 胃の障害に関する障害等級は、胃の切除により生じる症状の有無により、次のとおり認定することとなる。

等級 後遺障害
7級 消化吸収障害、ダンピング症候群及び胃切除術後逆流性食道炎のいずれもが認められるもの
9級

①消化吸収障害及びダンピング症候群が認められるもの

②消化吸収障害及び胃切除術後逆流性食道炎が認められるもの

11級 消化吸収障害、ダンピング症候群または胃切除術後逆流性食道炎のいずれかが認められるもの
13級

噴門部または幽門部を含む胃の一部を亡失したもの(上記9級及び11級に該当するものを除く)

(1)「胃の切除により生じる症状の有無」

 「胃の切除により生じる症状の有無」は、下記(2)から(4)により判断することとなる。

 

(2)「消化吸収障害が認められる」

 「消化吸収障害が認められる」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

①胃の全部を亡失したこと

②噴門部または幽門部を含む胃の一部を亡失し、低体重等(BMIが20以下であるものをいう。ただし、被災前からBMIが20以下であったものについては、被災前よりも体重10%以上減少したものをいう。以下同じ。)が認められること

 

(3)「ダンピング症候群が認められる」

 「ダンピング症候群が認められる」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

①胃の全部または幽門部を含む胃の一部を亡失したこと

②食後30分以内に出現するめまい起立不能等の早期ダンピング症候群に起因する症状または食後2時間後から3時間後に出現する全身脱力感、めまいなどの晩期ダンピング症候群に起因する症状が認められること

 

(4)「胃切除術後逆流性食道炎が認められる」

 「胃切除術後逆流性食道炎が認められる」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

①胃の全部または噴門部を含む一部を亡失したこと

②胸焼け、胸痛、嚥下困難等の胃切除術後逆流性食道炎に起因する自覚症状があること

③内視鏡検査により食道にびらん、潰瘍等の胃切除術後逆流性食道炎に起因する所見が認められること

 

3. 小腸の障害

(1) 小腸を大量に切除したもの

等級 後遺障害
9級 残存する空腸及び回腸(以下、「残存空・回腸」という。)の長さが100cm以下となったもの
11級 残存空・回腸の長さが100cmを超え300cm未満となったものであって、消化吸収障害が認められるもの(低体重等が認められるものをいう)

(注)小腸を大量に切除したため、経口的な栄養管理が不可能なものは、通常、療養を要する。

 

(2)人工肛門を造設したもの

等級 後遺障害
5級

小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着できないもの

7級 上記に該当しないもの

 

(3)小腸皮膚瘻を残すもの

等級 後遺障害
5級

瘻孔から小腸内容の全部または大部分が漏出するもの

 小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻周辺著しいびらんを生じ、パウチ等の装着をできないもの(以下、「パウチ等による維持管理が困難であるもの」という)

7級

①瘻孔から小腸内容の全部または大部分が漏出するもの
 上記5級に該当しないもの

②瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもの

  パウチ等による維持管理が困難であるもの

9級

瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもの
  上記7級②に該当しないもの

11級 瘻孔から少量ではあるが明らかに小腸内容が漏出する程度のもの

 

(4)小腸の狭さくを残すもの

等級 後遺障害
11級  小腸の狭さくを残すもの

①「小腸の狭さく」

 「小腸の狭さく」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

(a)1ヵ月に1回程度、腹痛、腹部膨満感、嘔気、嘔吐等の症状が認められること

(b)単純エックス線像においてケルクリングひだ像が認められること

 

4.大腸の障害

(1)大腸を大量に切除したもの

等級 後遺障害
11級

結腸のすべてを切除するなど大腸のほとんどを切除したもの。なお大腸を切除したことにより人工肛門を造設したものは、下記(2)により認定することとなる。

 

(2)人工肛門を造設したもの

等級 後遺障害
5級

大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着できないもの

7級 上記に該当しないもの

 

(3)大腸皮膚瘻を残すもの

等級 後遺障害
5級

瘻孔から大腸内容の全部または大部分が漏出するもの
 大腸内容が漏出することにより大腸皮膚瘻周辺著しいびらんを生じ、パウチ等の装着をできないもの(以下、「パウチ等による維持管理が困難であるもの」という)

7級

①瘻孔から大腸内容の全部または大部分が漏出するもの
 上記5級に該当しないもの

②瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもの
 パウチ等による維持管理が困難であるもの

9級

瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもの
 上記7級②に該当しないもの

11級 瘻孔から少量ではあるが明らかに大腸内容が漏出する程度のもの

 

(4)大腸の狭さくを残すもの

等級 後遺障害
11級 大腸の狭さくを残すもの

①「大腸の狭さく」

 「大腸の狭さく」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

(a)1ヵ月に1回程度、腹痛、腹部膨満感等の症状が認められること

(b)単純エックス線像において、貯留した大量のガスにより結腸膨起像が相当区間認められること

 

(5)便秘を残すもの

等級 後遺障害
9級 用手摘便を要すると認められるもの
11級 9級に該当しないもの

①「便秘」

 「便秘」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

(a)排便反射を支配する神経の損傷がMRI、CT等により確認できること

(b)排便回数が週2回以下の頻度であって、恒常的に硬便であると認められること

 なお、(a)及び(b)の障害の評価には、便秘を原因とする頭痛、悪心、嘔吐、腹痛等の症状が含まれる。

 

(6)便失禁を残すもの

等級 後遺障害
7級 完全便失禁を残すもの
9級 常時おむつの装着が必要なもの(7級に該当するものを除く)
11級 常時おむつの装着は必要ないものの、明らかに便失禁があると認められるもの

 

5.肝臓の障害

等級 後遺障害
9級 肝硬変(ウィルスの持続感染が認められ、かつ、AST・ALTが持続的に低値であるものに限る)
11級 慢性肝炎(ウィルスの持続感染が認められ、かつ、AST・ALTが持続的に低値であるものに限る)

 

6.胆のうの障害

等級 後遺障害
13級 胆のうを失ったもの

 

7.すい臓の障害

等級 後遺障害
9級 外分泌機能の障害と内分泌機能の障害の両方が認められるもの
11級 外分泌機能の障害または内分泌機能の障害のいずれかが認められるもの
12級/14級 軽微なすい液瘻を残したために皮膚に疼痛等を生じるものは、 局部の神経症状として第12級又は第14級に該当する。

(1)外分泌機能の障害

 「外分泌機能の障害」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

①上腹部痛、脂肪便(常食摂取で1日ふん便中脂肪が6g以上であるもの)、頻回の下痢等の外分泌機能の低下による症状が認められること

②次のいずれかに該当すること

(a)すい臓を一部切除したこと

(b)BT-PABA(PFD)試験で異常低値(70%未満)を示すこと

(c)ふん便中キモトリプシン活性で異常低値(24U/g未満)を示すこと

(d)アミラーゼまたはエラスターゼの異常低値を認めるもの

 

(2)内分泌機能の障害

 「内分泌機能の障害」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

① 異なる日に行った経口糖負荷試験によって、境界型または糖尿病型であることが2回以上確認されること

②空腹時血漿中のC-ペプチド(CPR)が0.5ng/ml以下(インスリン異常低値であること)

③II型糖尿病に該当しないこと

(注)内分泌機能に障害があるためにインスリン投与を必要とする場合は、療養を要する。

 

8.ひ臓の障害

等級 後遺障害
 13級 ひ臓を失ったもの

 

9.腹壁瘢痕ヘルニア、腹壁ヘルニア、鼠径ヘルニアまたは内ヘルニアを残すもの

等級 後遺障害
9級

常時ヘルニア内容の脱出・膨隆が認められるもの、または立位をしたときヘルニア内容の脱出・膨隆が認められるもの

11級

重激な業務に従事した場合等腹圧が強くかかるときにヘルニア内容の脱出・膨隆が認められるもの

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