後遺障害の加重について

 後遺障害の請求をしたところ、「加重に至らず非該当」との回答を受け、納得できないという方もいらっしゃると思います。

 加重とは、既に後遺障害のあった人が交通事故により同一部位にさらに傷害を負い、後遺障害の程度が重くなる(等級表上、上の等級に該当する)ことをいいます。

 既にあった後遺障害は、先天的なものかどうか、交通事故以外の事由によるかどうか等を問いません。

 

 典型的な例としては、以前も交通事故でむち打ち症のため14級の認定を受けており、今回の事故でもむち打ち症で14級と認定されるケースです。

 この場合は、同一部位にさらに傷害を負っていますが、後遺障害の程度が重くなったとはいえませんので、加重の要件を満たしていないことになります。

 これに対して、以前の事故では確かに14級の認定を受けたが、その症状はだいぶ前に治っており、現在の症状は今回の事故によるものだ、といった異議申立をすることが考えられます。

 ところが、一度認定された後遺障害は将来にわたってずっと残るという前提になっています(後遺障害の4要件の1つ:永久残存性)。

 前回事故の示談で労働能力喪失期間は23年などとされた場合には余計納得できないと思いますが、実務では労災保険に準拠してこのようになってしまっています。

 このケースで加重といえるためには、今回の事故で12級以上の障害(画像等で裏づけ所見が認められる場合)が残ったと認められることが必要になります。

 

 このほかの典型的な例としては、けがや病気の治療を継続していたところ、事故にあってしまい、これまで治療を受けていたところと同一部位に傷害を負ったケースです。

 この場合には、事故前の後遺障害の程度を認定し、事故後程度が重くなったといえるかどうかを確認します。

 認定ではできるだけ事故直前の状態を見ますので、事故直前の段階では症状が回復して治療を終了していたり、治療を受けていても症状がほとんどなくなっていれば、事故前の障害は非該当レベルということになり加重の問題は生じませんのでご注意ください。

 上記は主なケースですが、このほかにも「同一部位」が問題になるケースもあります。 

 

【ご参考】自賠法施行令第2条第2

法第十三条第一項の保険金額は、既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによつて同一部位について後遺障害の程度を加重した場合における当該後遺障害による損害については、当該後遺障害の該当する別表第一又は別表第二に定める等級に応ずるこれらの表に定める金額から、既にあつた後遺障害の該当するこれらの表に定める等級に応ずるこれらの表に定める金額を控除した金額とする。

  

  

【関連ページ】

 ◇損害保険料率算出機構とは

 ◇後遺障害等級認定のポイント 

 ◇交通外傷の基礎知識

 ◇治療先と後遺障害等級認定