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 現在、自動車の自動運転の研究・実験が進められており、ドライバー等の負担を大きく軽減し、交通事故の減少や渋滞の緩和等に大きく寄与することが期待されています。

 仮に自動運転中に自動車の欠陥により人身事故が起きた場合、ドライバー(搭乗者)には落ち度・過失がないと考えられるため、誰が賠償責任を負うか問題となり得ます。 この点、すべての自動車に自賠責保険の加入を義務付け、被害者保護を目的とする自動車損害賠償保障法(自賠法)では、人身損害の賠償責任を負うのは「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)としており、自動車の所有者など自動車の運行を支配できたり、運行から利益を受けられる者としていますので、賠償責任を負う人はドライバーに限られず、幅広いです。

 そして、運行供用者側は無過失を証明できない限り、賠償責任を負うこととされており、仮に製造上の欠陥で事故が発生しても、無過失とは言えず、賠償責任は免れないと解されています(同時に、メーカー側の製造物責任が発生する可能性もあり得ます)。

 また、自賠責保険の上積み保険である任意自動車保険の対人賠償の約款上は、自動車の所有、使用または管理に起因して他人の生命・身体を害したことにより、法律上の賠償責任を負う場合に支払いがなされる旨が規定されています。

 ここでも、賠償責任を負う人をドライバーに限定していません。自賠責保険の上積み保険の性格上、自賠法で賠償責任が発生する場合には、基本的には自賠責保険の支払いを超える部分については任意自動車保険から支払いがなされることになります。

 しかし、物損については、自賠法が適用されず、民法の過失責任の原則の規定に基づきますので、免責となる可能性も考えられます(この場合、メーカー側の製造物責任の問題になり得ます)。

 上記から、現在の法律・約款でも、自動運転中の人身事故による賠償問題への対応は一応可能と考えられますが、物損については免責となる可能性もあり得ると考えられます。

 ただ、自動運転の世の中になると、現行の自賠法の規定では対応は困難で、製造物責任を前面に出す必要性があるとの指摘も見られます。

 今後の自動運転の進展・普及の動向、これに向けた法改正や保険商品開発の動向等について気にかかるところです。

以上

(平成28年4月2日作成)

【参考ホームページ】 

◇官民ITS構想・ロードマップ2016

◇官民ITS構想・ロードマップ2017

◇自動運転の法的課題について(日本損害保険協会)

◇自動運転における損害賠償責任に関する研究会 報告書(国土交通省 平成30年3月) 

【関連ページ】

◇交通事故の損害賠償責任

◇自動車保険のしくみ

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