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脳脊髄液減少症の基礎知識

 交通事故では、むち打ち症の後に頭痛、めまい、倦怠感、耳鳴り等の症状が現れ、病院で脳脊髄液減少症と診断されることがあります。

 ここでは、脳脊髄液減少症の基礎的なことをまとめています。

 

1.脳脊髄液減少症とは

 脳脊髄液減少症では、脳と脊髄を循環している髄液が減少することで、頭痛など様々な症状が現れます。髄液の減少は、髄液のまわりにある硬膜が破綻し、そこから髄液が漏れ出てしまうことで起こります。症状の改善が見られない場合は、複数の検査で髄液漏れの有無を確認し、漏れている箇所が特定できれば、これをふさぐ治療(ブラッドパッチ)が行われます。

 

2.主な症状

 起立性の頭痛、体位による症状の変化が典型的とされています。このほか、めまい、耳鳴、視力低下、倦怠感など様々な症状を呈することがあります。

 

3.診断

 脳脊髄液減少症の診断は、本人の訴えの確認に加えて、下記の検査により行われます。

(1)脳・脊髄MRI

 造影脳MRIでは、①びまん性硬膜肥厚、②小脳扁桃下垂、③硬膜下血腫/水腫、④下垂体腫大、⑤静脈洞拡張などが重要な所見とされています。

 脊髄MRIでは、①くも膜下腔外の液体貯留、②硬膜外液体貯留、③硬膜外静脈叢拡張などが重要な所見とされています。

 

(2)脳槽シンチグラフィー

 腰部に細い針を刺し(腰椎穿刺)、髄腔内に放射性同位元素(RI)を注入後、RIを介して髄液の流れを観察します。RIが漏れている場合は、硬膜の外側にRIが認められます(硬膜漏出の直接所見)。この場合、頭蓋の部分へのRIの流入が遅延や欠如したりし、RIが急速に吸収されて尿中に早く現れたり、早く尿として排泄されることで体内のRI残存率が24時間で低下したりします(硬膜漏出の間接所見)。

 

(3) CTミエログラフィー

 腰椎穿刺により髄腔内に造影剤を注入後、全身CTを撮影することで、造影剤が髄腔内から硬膜の外側に漏れていないか確認されます。

 

(4)MRミエログラフィー

 MRミエログラフィーは、硬膜穿刺のリスクがなく、造影剤が不要、検査が短時間、空間分解能が高い等の利点があるとされます。

 

3.治療

(1)臥床安静と十分な水分摂取

 発症して2週間程度は、臥床安静と十分な水分摂取が指示されます。

 

(2)硬膜外生理食塩水注入

 上記で改善しない場合は、硬膜外生理食塩水注入が行われます(病院によってはすぐに下記(3)の治療が行うところもあります)。

 漏出部位の確認と治療の効果を確認する目的で行われます。

 

(3)ブラッドパッチ(硬膜外自家血注入療法)

 ブラッドパッチとは、漏出部位の近くに穿刺針を使って患者の血液を硬膜の外側に注入し、漏出部位を血液で塞ぐ治療方法です。平成28年に、脳脊髄液減少症に対する治療としてブラッドパッチが健康保険で認められています。   

 1回の注入では20%程度で症状が著明に改善するといわれています。1回で効果がないときは複数回行われることがあります。

 

4.後遺障害等級との関係

 脳脊髄液減少症について交通事故との因果関係が認められ、症状を裏付ける客観的所見が認められれば12級以上の等級が認められる可能性があります。そうでない場合でも、14級が認定されることがあります。

(令和6年2月8日作成)

 

【参考ホームページ】

脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準(福岡県庁ホームページ)

脳脊髄液減少症ホームページ

診断基準(日本脳脊髄液漏出症学会ホームページ)

 

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