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電動キックボードと交通事故

 最近、新たな移動手段として電動キックボードが注目されており、特に近距離の移動でニーズがあるとされています。ここでは、電動キックボードの概要と問題点などをまとめています。

 

1.電動キックボードとは

 電動キックボードは、前後に車輪が1つずつ付いた細長い板の上に立って、前輪と板に繋がったハンドルを操作し、電動式のモーター(原動機)により走行する乗り物で、折りたたんで持ち運びできるものが多いです。

 性能は商品により大きな違いがあります。最高速度は時速15〜55キロ程度、1充電あたりの最大走行距離は10〜80キロ程度、重さは8〜30キロ程度、価格は1台2万円前後〜30万円前後、といった具合です。購入せずに利用できるシェアリングサービスも実施されています。

 電動キックボードは道路交通法上、原動機の定格出力が0.60キロワット以下の場合には原動機付自転車に該当するため、運転免許の取得、免許証の携帯、ヘルメットの着用、ナンバープレートの設置、車道の走行、自賠責保険への加入などが必要になります。

 

2.問題点と対応

 電動キックボード利用時の交通事故やルール違反が最近問題視されています。電動キックボードに乗る際は上記のとおり、原動機付自転車と同じルールに従う必要がありますが、これらのルール・法律を知らずに走行し、危険運転などが相次いでいるためです(東京都内の事故件数は2021年1〜8月に39件とのこと)。実際に何度か目にしたことがありますが、見慣れないためか結構スピードが出て違和感をおぼえたことがあります。

 上記のようなルール・法律があることを知ると、電動キックボードを購入しようと思っても躊躇してしまうかもしれません。そこで、東京都などでは国の特例措置の対象となる電動キックボード(最高時速15キロメートル以下など)について、小型特殊自動車と位置付け、ヘルメットをつけずに自転車道を走る実証実験が行われています。また、警察庁の有識者検討会は、海外の事情や国内での実験結果なども参照しながら、運転免許を不要としヘルメットの着用を義務付けないなど、規制緩和に向けた新たなルールが提言されています。

 現段階(令和3年11月時点)で電動キックボードは、原動機付自転車と同じルールで乗る必要がありますが、十分に周知されておらず危険な運転も見られるため、警察がルール違反車両に対する警告や安全指導に力を入れています。

 

3.まとめ

 電動キックボードは、乗る人からすると新しい乗り物で、他の人からすると見慣れない乗り物ですので、一般に普及するまでは事故が起こり易い状況が危惧されます。このため、上記有識者検討会の提言どおり、今後規制緩和されたとしても、安全な利用のため、購入時(インターネットで簡単に購入できますが、そのときに動画で注意点を案内する等)やレンタル時に、短時間の講習受講などが必要と思われます。

 

4.規制の動向

(1)令和4年4月28日追記

 電動キックボードに関する規制については、令和4年4月19日に道路交通法の改正案が衆議院で可決、成立しました。その概要は、下記のとおりです。

  • 電動キックボードは、これまでの原動機付自転車ではなく、「特定小型原動機付自転車」という新たな車両区分に該当(従来の原動機付自転車は、「一般原動機付自転車」に該当)
  • 最高速度は時速20キロメートル
  • 運転免許は不要
  • 16歳未満は運転禁止
  • ヘルメット着用は努力義務
  • 車道、路側帯、歩道など走行可能(一定の規制あり)
  • 販売者・貸し渡し業者に、購入者・利用者への交通安全教育(努力義務)
  • 危険行為等をした場合の講習等受講義務

 ただし、上記改正法の施行は2年以内とされていますので、それまでは現行どおり、原動機付自転車としての扱いとなります。

 また、新設される「特定小型原動機付自転車」の保安基準はまだ確定していないため、改正法の施行後に現在の電動キックボードがそのまま「特定小型原動機付自転車」に該当するとは限らないことに注意が必要とされています。

 

(2)令和5年7月11日追記

 令和5年7月1日に道路交通法の改正法が施行されました。

以上

(令和5年7月11日更新)


【参考ホームページ】

電動キックボードについて(警察庁ホームページ)

電動キックホートに係る産業競争力強化法に基つく特例措置について(警察庁ホームページ)

電動キックホート等に係る広報啓発活動の推進等について(警察庁ホームページ)

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会 中間報告書 令和3年4月(警察庁ホームページ)

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