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 交通事故では衝突による衝撃で、に損傷を受けてしまうことが多いです。

 衝撃の大きさによっては、筋肉靭帯だけでなく、神経(脊髄神経根)も損傷を受けてしまう場合があります。

  一般にの損傷は、症状に基づいて、下記の3つのタイプに分けられると言われています。      

  ①頚椎捻挫型

  ②神経根症型

  ③脊髄症(脊髄損傷)型

  ここでは、「②神経根症型」の診断のポイント、症状の特徴および治療方法の概要、そして、後遺障害等級との関係について記載します。

 

1.神経根症とは

  脊髄から出る神経の根元部分である神経根の損傷を主体とするものです。 神経根は、頚椎の過度の動きや椎間板ヘルニアで押し付けられたりすることで損傷します。

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2.神経根症の診断

  診断のポイントとして、①肩・上肢に他覚的な神経症状の存在、②神経根症状誘発テストによる症状の再現性が挙げられます。

①肩・上肢に他覚的な神経症状の存在

 a)障害された神経根が支配する筋萎縮筋力低下

 b)障害された神経根の支配領域(デルマトーム)に一致して現れる自発痛、放散痛、知覚障害(知覚脱失、知覚鈍麻)

 c)障害された神経根が関与する上肢腱反射の異常(減弱や消失)

 

 ②神経根症状誘発テストによる症状の再現性

  主なテストとして、スパーリングテストジャクソンテストがあります。いずれも、椎間孔が狭くなるように神経根の圧迫を増強する方法です。

 

3. 神経根症の症状

(1)神経症状

  第24頚神経の障害は、後頭部、頚部後側面、上背部を中心に、第58頚神経は肩、腕、手、指に症状が出現します。

 

(2)上肢の自律神経症状

  障害を受けた神経によっては、肩、上肢のしびれ、脱力、重苦感、手の冷感などの自律神経症状が出現します。

 

4. 神経根症の一般的な治療

 (1)急性期(事故〜1ヶ月)

 基本的には頚椎捻挫の治療と同じとされています。レントゲンで異常が見られ、それまでの治療で症状の改善が得られないものは、CTMRI筋電図検査等の精査が行われます。椎間板ヘルニアによる神経根圧迫が確認され、保存療法に反応しない場合は、手術療法が取られることもあります。

 

(2)亜急性期(1〜3ヶ月)

 急性期に手術療法が取られなかった場合は、保存療法で経過観察されます。検査により障害の部位と症状の再現性を確認し、同時にステロイド剤と局所麻酔剤による神経根ブロックが行われます。また、頚椎牽引、投薬等が併用され、神経根周囲の圧迫状況を軽減させます。

 

(3)慢性期(3ヶ月超)

 手術療法が取られず、かつ、症状が続く場合は、保存療法で経過観察されます。症状が悪化した場合には、CT、MRI、筋電図検査等で再検査が行われます。

 

5.後遺障害等級との関係

 「神経根症型」の場合には、自覚症状だけでなく、他覚的な神経症状も見られますので、14級9号に該当するかどうかだけでなく、1213号に該当するかどうかも問題となります。

 

【参考ホームページ】

◇日本整形外科学会

◇日本脊椎脊髄病学会

【関連ページ】

◇むち打ち等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント

◇むち打ちの治療費打ち切り

◇むち打ち症(頚椎捻挫)治療時の医師のやりとりのポイント

◇しびれの症状と後遺障害等級認定 

◇むち打ち症の他覚的所見(後遺症12級の要件)について

◇頚椎の経年性変化(加齢変化)の基礎知識

◇脊髄症(脊髄損傷)の基礎知識

◇頚椎椎間板ヘルニアの基礎知識

◇腰椎椎間板ヘルニアの基礎知識

◇腰部脊柱管狭窄症の基礎知識

 交通事故ではその衝撃により、首に損傷を受けてしまうことが多いです。

 衝撃の大きさによっては、の筋肉や靭帯だけでなく、神経(脊髄神経根)も損傷を受けてしまうことがあります。

 一般に首の損傷は、症状・所見に基づいて、下記の3つのタイプに分けられると言われています。

  ①頚椎捻挫型

  ②神経根症型

  ③脊髄症(脊髄損傷)型

 ここでは、に受けた損傷の9割以上を占めると言われる「①頚椎捻挫型」の診断のポイント、症状の特徴、治療方法の概要、後遺障害等級との関係についてまとめています。

 

1.頚椎捻挫とは

 頚椎捻挫とは、を固定する筋肉と靭帯の損傷を主体とするものです。

2.頚椎捻挫の診断

  診断のポイントとして、①医師が診察してはっきりした神経症状(知覚や筋力の低下など)はないが、手足のしびれ・だるさ等の自覚症状を訴える、②X線所見上、頚椎に骨折・脱臼がないこと。また亜脱臼を呈するような明らかな頚椎の異常可動性がないことが挙げられます。

 

3.頚椎捻挫の症状

   自覚症状が中心となり、以下のものが認められます。

 ①痛み:頚部後面、頚部前側面、頭部、頚椎

 ②頚〜肩甲上部〜背部の筋肉の凝り

 ③頚部運動制限と運動時痛

 ④そのほかの症状:上肢のだるさ・しびれなど

 

4.頚椎捻挫の一般的な治療

 (1)急性期(事故〜1ヶ月)

  • 頚部の安静、ポリネック固定
  • 薬物療法:消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、精神安定剤など
  • 処置:冷湿布、局所ブロックなど
  • 物理療法:温熱療法など(3週〜)

 (2)亜急性期(1〜3ヶ月)

 (3)慢性期(3ヶ月超)

  • 全身的調整:筋力増強訓練、耐久力増強、集中力訓練
  • 心理分析、心理療法
  • 社会的問題点の整理:加害者との関係、職場との調整など
  • 薬物療法:亜急性期と同じ  

 

5.後遺障害等級との関係

(1)ポイント

 「頚椎捻挫型」の場合には、自覚症状が主体であり、他覚的な所見が乏しいですので、14級9号に該当するかどうかが問題となります。

 詳しくは、むち打ち等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイントにまとめています。

 

(2)取扱事例

自転車同士の事故での頚椎捻挫について人身傷害保険から12級13号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・上肢痛等について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚部痛等について2回目の異議申立で自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫の症状について異時共同不法行為で自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・手のしびれ等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛、両上肢痺れ等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

 

【関連ページ】

◇首(頚椎)の構造 

◇後遺障害等級認定のポイント  

◇頚椎の経年性変化(加齢変化)の基礎知識

◇むち打ち症・骨折等の治療の基礎知識

◇むち打ち症・脊髄損傷等の検査(画像・神経学的検査)の基礎知識

◇むち打ちの治療費打ち切り

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定と治療期間について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の治療のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)治療時の医師のやりとりのポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害請求のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)で様々な症状が現れる原因 

◇むち打ち症(頚椎捻挫)と因果関係のある症状について

むち打ち症・骨折等の治療の基礎知識

 交通事故では、むち打ち症(頚椎捻挫)や手足の骨折の怪我がとても多いです。

  ここでは、むち打ち症・骨折等の怪我への治療(整形外科の治療)の基礎的なことをまとめています。

 

1.基本的な考え方・特徴

 治療にあたっては、各疾患・傷病の自然経過、自然治癒経過、が常に考慮されていることが大きな特徴とされています。

 次に各患者の方が置かれている生活条件・環境(年令、職業、リハビリへの意欲、傷病への理解度など)を考慮すべきとされており、これらを前提に最も有益な治療法を模索し、実行することが重視されています。


2.保存的治療

 整形外科治療では、骨・関節・筋肉・脊椎・神経などが損傷に対して備えている旺盛な自己修復機能を介助しようとする保存的治療(保存療法)が原則とされています。

(1)経過観察

 経過観察は、最も大切な保存的治療の1つで、患者の方から症状経過を聞き出し、傷病が軽快しつつあるのか悪化しつつあるのかを見極めことが重要とされています。

(2)安静

 安静は、治療体系の中で最も根源的な治療法で、自然治癒力を最大限に発揮させるために必須とされています。

(3)薬物療法

(4)注射・注入

(5)理学療法

 理学療法は、保存的治療体系の中で必須で、運動器の治療体系の中でも特に重要視されています。

①運動療法

 運動療法には、関節可動域訓練、筋力増強訓練、日常生活動作訓練などがあります。

②物理療法

 物理療法は、物理刺激−温熱、電流、電磁波、高周波、コロナ放電、レーザー、光線、水、超音波など−に対する生体の反応を利用して機能の活性化をはかる治療法です。 

(6)徒手矯正・徒手整復

(7)牽引療法

 牽引療法は、骨折・脱臼の整復や整復位の保持,関節拘縮の矯正,脊椎変形の矯正,脊椎骨折・脱臼の整復などの目的で利用されます。

①介達牽引

 介達牽引は、皮膚・軟部組織を介して牽引力を働かせて整復、固定、矯正等を行うものです。

 特殊な介達牽引として、頚椎牽引、骨盤牽引があります。

②直達牽引

 直達牽引は、直接骨を介して牽引力を働かせて整復、固定、矯正、延長等を行うものです。

 長管骨にキルシュナー鋼線を刺入して牽引する鋼線牽引がよく行われます。このほか、頭蓋骨にピンを刺入して牽引する頭蓋牽引もあります。

(8)固定法

 患部の固定・安静は、保存的治療の中で最も基本的な手技とされており、ギプス固定、シーネ固定、絆創膏固定などがあります。

(9)装具

 装具は、固定、免荷、支持、変形矯正などを目的に使用されます。

 装具の基礎知識のページをご覧ください。


3.観血療法

 観血療法は、治療中の患者の方の苦しみをできるだけ減らし、治癒後の機能障害を最小限に抑え、また治療期間を短縮させるために導入されています。

 発達改良(手術用顕微鏡・エアードリル・関節鏡の導入、医療材料・材料工学の発達など)が加えられることにより、それまでは困難とされていた手術が可能となっているものもあります。

 

【関連ページ】

◇骨折の基礎知識

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の基礎知識

◇治療先と後遺障害等級認定 

◇むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の後遺障害等級認定のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の治療のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)治療時の医師のやりとりのポイント

 むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定は、以前よりは厳しくなっている印象があります。それは以前なら最初の請求で後遺障害14級と認められていたような方が後遺障害非該当となり、後遺障害12級に該当しそうな症状や所見のある方が、ようやく最初の請求で後遺障害14級に認定されている印象があるからです。

 このため、むち打ち症の症状でお困りの方で後遺障害請求を考えていらっしゃる方は、最初の請求で後遺障害が認定されなかった場合に、異議申し立てを行うかどうかの対応についても、最初の請求の段階で考えておかれることが望ましいと思います。

 むち打ち症の後遺障害14級と後遺障害非該当の違いは、自賠責保険の後遺障害等級認定において準拠している労災保険の認定基準上も明確ではありませんが、主に事故状況、物損状況、医療機関、治療期間、治療内容、通院状況、画像所見、神経学的所見、診断書の記載内容等から総合的に判断されていると思います。

 むち打ち症の症状の内容や程度は、被害者の方ごとに大きな違いがありますので、医師の指導に基づいてきちんと治療を受けてきたにもかかわらず痛みやしびれなど一定の症状が残ってしまい、担当医師も後遺障害の残存を認め、やむを得ず後遺障害の請求をしたような場合には、最終的に後遺障害14級が認定されなかったときでも一応後遺障害として認め、症状の内容・程度、医師の所見等に応じた賠償(例えば労働能力喪失率5%未満でも認める、一定額を支払う等)を受けられるようにすることが望ましいと思います。 

 しかし現在の制度では後遺障害14級と認められるか否かで賠償額が大きく変わってきますので、むち打ち症の後遺障害認定を希望される方は、最初の請求の段階から慎重な対応が必要になってくると思います。

(平成26年2月12日作成、令和5年7月26日改訂)

 

【取扱事例】

自転車同士の事故での頚椎捻挫について人身傷害保険から12級13号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・上肢痛等について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚部痛等について2回目の異議申立で自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫の症状について異時共同不法行為で自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・手のしびれ等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛、両上肢痺れ等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

【関連ページ】

◇むち打ち等による痛み・しびれの後遺障害認定のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の基礎知識

◇むち打ち症・骨折等の治療の基礎知識

◇治療先と後遺障害等級認定

◇損害保険料率算出機構とは

◇後遺障害等級認定業務の概要

◇後遺障害の等級認定に対する異議申立について

◇自賠責保険の認定(回答)文書について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の治療のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)治療時の医師のやりとりのポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害請求のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害回答文書の分析(非該当のケース)

むち打ち症(頚椎捻挫)が長期化する要因について

 むち打ち症(頚椎捻挫)は統計的には3ヶ月程度で治ると言われていますが、一方で症状が長期化してしまう方も少なくありません。

 症状が長期化する要因として、下記のようなことが考えられています。

1.事故の衝撃の大きさ

 事故の時に受けた衝撃が大きかった場合には、身体に相当の外力が加わり、筋肉・神経等への損傷(画像では分からないような損傷)があったことが考えられ、症状が長期化することがあります。



2.ヘルニア等の加齢変化の存在

 事故前には特に症状がない場合でも、事故前からあったと考えられる椎間板ヘルニア等による症状が、事故による衝撃によって現れてしまうことがあります。

 医師によっては早々に「これはなかなか治らない」、「これは後遺症です」と説明することもあります。このような場合には、症状が治りにくく、長期化することがあります。



3.加害者や保険会社の対応

 加害者や保険会社の対応・言動等により、被害者の方の怒りやショックが強くなり、症状が長期化することあると考えられています。



4.医師の対応

 通院先の医師の対応・説明等が、症状の長期化の要因になることがあると考えられています。



5.被害者の方の要因

 被害者の方のキャラクターなども、症状の長期化に強く関与することがあると考えられています。

以上

(平成26年3月6日作成)

 

【取扱事例】

自転車同士の事故での頚椎捻挫について人身傷害保険から12級13号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・上肢痛等について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

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頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚部痛等について2回目の異議申立で自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫の症状について異時共同不法行為で自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・手のしびれ等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

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◇むち打ち症・骨折等の治療の基礎知識

◇むち打ちの治療費打ち切り

◇後遺障害診断書に記載される症状固定日について

◇治療先と後遺障害等級認定

◇最近のむち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定の傾向

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定と治療期間について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)が交通事故で問題になりやすい要因

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の治療のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)治療時の医師のやりとりのポイント

むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定と治療期間について

 むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定では、治療期間が比較的重視されており、治療期間が長い方が後遺障害として認定される可能性は高くなると思います。

 しかし、むち打ち症の程度が重く、後遺障害認定される可能性が高いにもかかわらず長期の治療を求めることは、早期解決を望む被害者の方に酷と思われることがあります。

 被害者の方が早期の解決を望んでおり、医師の所見や事故状況などから治療を続けても後遺症が残る可能性が高い場合には、治療期間がそれほど長くないときでも後遺障害認定されてよいことがあると思います。

 被害者の方と損保会社の主なメリット、治療期間が長くなくても後遺障害が認められる要件などについての私見は下記のとおりです。

〇被害者の方のメリット

  • 早期に後遺障害認定されて解決することで、事故から早く解放される
  • 解決後に落ち着いて治療に専念できる

※被害者の方が早期の解決を望んでいることが前提


〇損保会社のメリット

  • 短い期間で解決しやすくなる


〇後遺障害認定の主な要件

  • 医師の所見:医師も症状固定と認めていること、画像・神経学的所見で何らかの異常が認められていること、後遺症が残る可能性が高いことを認めていること
  • 受傷状況:後遺症が残っても不思議でないような強い衝撃を受傷時に受けたこと

 

 課題として、損保会社が後遺障害認定を行うのではありませんので、症状固定前に、後遺障害認定について確認できる仕組みが必要になると思われます。

以上

(平成26年3月22日作成)

 

【取扱事例】

自転車同士の事故での頚椎捻挫について人身傷害保険から12級13号が認定された事例

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◇むち打ち症(頚椎捻挫)が長期化する要因について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)が交通事故で問題になりやすい要因

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の治療のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)治療時の医師のやりとりのポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害請求のポイント

むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害異議申立で申し立てる症状について

  交通事故によるむち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害請求に対する認定結果に納得できないときには、通常は異議申立の手続きを行います。このとき、一番お困りの症状に絞って申し立てをすることもあると思います。

 しかし、自賠責保険の後遺障害認定に関する回答文書を見ますと、一番お困りの症状に絞って申立をするよりも、別の症状もあわせて、または別の症状を中心に申し立てた方が後遺障害が認定されやすいことがあります。

 例えば、首の痛みと手のしびれの症状が残ってしまい、いずれも自賠責保険の後遺障害に該当しないという判断がなされた場合、後遺障害の回答文書上、手のしびれについては発症時期が遅いことを理由に事故との因果関係が否定されていることがあります。手のしびれの症状でお困りの場合、手のしびれを中心に申し立てをされるよりも、因果関係が否定されていない首の痛みも手のしびれと同じように申し立てされた方が認定されることがあります。

 これはむち打ち症以外のときにも当てはまりますが、お困りの症状をどのように申し立てればよいのかという視点に加えて、後遺障害が認められやすい症状はないか、という視点も大切になります。

 このように、一番お困りの症状とは別の症状の方が後遺障害として認められることもありますので、できるだけ後遺障害の回答文書の内容もご確認いただいて、申し立てる症状について検討することも大切と思います。

  なお、異議申立を行った結果、新たに後遺障害が認定されて、複数の後遺障害が認められた場合には「併合」という処理がされますが、等級自体は変わらないこともあります(例えば、首の神経症状:14級、腰の神経症状:非該当に対し、両方の症状ともに12級を求めて異議申立をしたところ、腰の神経症状は新たに14級が認められたような場合)。この場合には、もし後日事故にあって、異議申立で新たに認められた部位に後遺障害が残り後遺障害請求をしても、加重に至らず後遺障害に該当しないこともあり得ます(上記例では、後日、別の事故で腰を受傷し14級の認定を受けたとしても、前回事故で14級を受けていますので、後遺障害の支払いはなされないことになります)。

 このため、異議申し立てを行う際は、新たに後遺障害が認められたときに等級が上がる可能性があるかどうかの確認を、念のため行うことも必要と思われます。

以上

(平成26年4月16日作成)

 

【取扱事例】

自転車同士の事故での頚椎捻挫について人身傷害保険から12級13号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・上肢痛等について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

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頚椎捻挫の症状について異時共同不法行為で自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・手のしびれ等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛、両上肢痺れ等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

【関連ページ】

◇後遺障害の等級認定に対する異議申立について

◇後遺障害等級認定業務の概要

◇後遺障害の加重について

◇後遺障害等級認定における症状の推移のポイント

◇後遺障害等級認定における医療照会について

◇むち打ち症の他覚的所見(後遺症12級の要件)について

◇最近のむち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定の傾向

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害回答文書の分析(非該当のケース)

むち打ち症(頚椎捻挫)治療時の医師とのやりとりのポイント

 交通事故によるむち打ち症(頚椎捻挫)で症状の重さに見合った適切な賠償を受けるには、ご通院先の医師とのやりとりが大切になることがあります。

 それは、医師の所見が治療期間(症状固定時期)や後遺障害等級認定などに大きく影響することがあるからです。

 医師は損保会社から文書照会を受けることがありますが、これに対して「まもなく症状固定」、「〇月頃治療終了」などと回答しますと、損保会社もその回答内容に基づいて対応してくることもありますし、また、「後遺症は残らない」などと回答されますと、後遺障害の請求も難しくなると思います。

 主治医の先生が後遺障害の等級認定を行うわけではありませんが、実質的には最初の後遺障害等級認定の役割を担っているといっても過言ではありません。

 医師の多忙さやむち打ち症・保険請求に対する考え方などから、医師とのやりとりが難しいこともありますが、できるだけスムーズに医師とやりとりするポイントとして、下記が挙げられます。


〇病院を簡単に変えないこと

 病院を簡単にいくつも変えることは、医師からよい印象を持たれない恐れがあります。医師から「途中からの通院だからよく分からない」などと言われ、協力を得られないこともあり得るからです。また、転院前の医師にも保険会社などから文書照会されることがありますので、場合によってはあまり良い回答がなされなかったり、現在の病院の医師の所見と一貫性が認められないことがあり得ます。

 

〇病院を変えるときは、できるだけ紹介状を

 ご通院先が不便等の事情があって転院するときは、できるだけ転院前の医師に紹介状を作成してもらう方が、次の医師にスムーズに引き継げると思います。

 接骨院や鍼灸での治療を受ける際も、可能でしたら、あらかじめ医師にご相談しておくことが望ましいです。

 

〇医師の説明内容等をよく聞いておくこと

 医師が一度説明した内容は、後になっても変えないことが多い印象があります。医師の説明内容がご自身に有利な内容でしたら、後で診断書の作成をお願いする際に、その内容を記載してもらえる可能性が高いといえます。

 仮に不利な内容と思われる説明でも、第三者が聞くとそう解されないこともありますので、ご自身で決めつけず専門家に相談することが良いと考えます。

 

〇できるだけ医師に理解してもらえるように話すこと

 医師には症状のほか、事故の状況も話しておくことも大切です。症状が複数ある場合には、どのような症状がいつ頃から現れたかをメモにして渡しておくと、医師にも漏れなく伝わると思います。

 

〇治療の考え方

 被害者の方は、症状の改善さらには完治を目指して治療を続ける一方で、医師も同じ考えで治療を行うと思います。しかし、ある程度の間治療を続けても、あまり状態が変わらず治りそうもないと思ったときには、あまり深刻に考え過ぎず、後遺障害の請求を意識することでやむを得ないと考えます。事故は様々なことが影響しており、事故の問題が解決した後に良くなることもあるからです。

 希望する医療機関等で自由に治療を受けたいという気持ちもあると思いますが、適切に賠償を受けるため、とりあえず今の病院では我慢して治療を続け、事故の問題が解決してから落ち着いて希望する医療機関等で治療を受ける、などと割り切ることも大切になることがあると考えます。

以上

(平成26年4月7日作成)

 

【関連ページ】

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の基礎知識

◇むち打ち等による痛み・しびれの後遺障害認定のポイント

◇後遺障害等級認定のポイント 

◇むち打ち症・骨折等の治療の基礎知識

◇むち打ちの治療費打ち切り

◇後遺障害診断書に記載される症状固定日について

◇治療先と後遺障害等級認定

◇むち打ち症(頚椎捻挫)が長期化する要因について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺症認定と治療期間について

むち打ち症(頚椎捻挫)が交通事故で問題になりやすい要因

  交通事故の受傷ではむち打ち症(頚椎捻挫)が多いですが、損害賠償上、問題となることが少なくありません。その主な要因として、下記の点が考えられます。

〇客観的な異常所見に乏しいことが多いこと

 むち打ち症では客観的な異常所見に乏しく、自覚症状が主体になることが多いです。骨折の場合には骨が折れていることがレントゲン写真などで分かりますが、むち打ち症の場合には、どれくらいの外力が加わったのか、症状はどの程度なのか等は、事故状況、物損状況、画像所見、通院・治療状況などもあわせて総合的に見る必要があります。

 被害者の方からすると当たり前のことでもどかしく感じられるかもしれませんが、被害者以外の人から見ますと、推測の必要な部分が多いと思われます。

〇むち打ち症というだけで軽いと思われてしまうこと

 むち打ち症は統計的には7割の方が3ヶ月以内に治ると言われていますので、事故による怪我としては一般に軽い方と考えられています。

 しかし、むち打ち症の症状の内容や程度は、被害者の方によって大きく異なりますので、被害者の方の訴えが理解されにくいことがあります。

〇むち打ち症は治りにくいことがあること

 むち打ち症は上記のとおり統計的には比較的短い期間で治る一方で、なかなか思うように治らず長期化することも少なくありません。事故時に受けた衝撃の大きさや元々の骨・椎間板の状態などに加えて、周囲の理解が乏しいこともストレスになり、症状の原因や治療法などについて深刻に考えてしまって、転院を繰り返すこともあります。

〇医師もむち打ち症は手間がかかると思っていることがあること

 交通事故によるむち打ち症の治療を面倒に思う病院もあります。本来良くなってよいはずの症状がなかなか良くならないことや保険請求(保険会社とのやりとりなど)に関する手間などが理由として考えられます。


 むち打ち症の問題は、被害者の方と被害者以外の方(医師や保険会社など)との認識のギャップが大きいときほどはっきり現れやすいと思います。

 医師や保険会社は被害者の方の苦痛や気持ちにできるだけ寄り添うこと、また、被害者の方はむち打ち症の特徴や医師などの考え方を知って、あまり深刻になりすぎないことが、むち打ち症の問題を小さくするように思います。

(平成26年4月22日作成)

【関連ページ】

◇後遺障害等級認定のポイント 

◇治療先と後遺障害等級認定

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の基礎知識

◇頚椎の経年性変化(加齢変化)の基礎知識

◇むち打ち症・骨折等の治療の基礎知識

◇椎間板ヘルニア等による神経根症の基礎知識

◇椎間板ヘルニアの基礎知識

◇バレー・ルー(バレリュー)症候群の基礎知識

◇むち打ちの治療費打ち切り

◇後遺障害診断書の作成依頼のポイント

◇最近のむち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定の傾向

◇むち打ち症(頚椎捻挫)が長期化する要因について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定と治療期間について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の治療のポイント

むち打ち症(頚椎捻挫)の治療のポイント

  交通事故でのむち打ち症(頚椎捻挫)の怪我では、被害者の立場にもかかわらず、保険会社や医師の対応が厳しい、症状があまり良くならない、といった状況に置かれて大変な思いをされることがあります。

 痛みなどによる苦痛に加えて、このようなストレスを受けますと、より良い対応をしてくれそうな別の病院や接骨院に移ったり、症状・治療が長引いてしまう、ということもあると思います。

 しかし、治療を受けて良くなる方が多数の一方で、事故の状況などから、適切な治療を受けてもなかなか良くならない方も残念ですがおられます。

 このため、あまり良くならない、良くなりそうもないと感じられるときでも、できるだけ治療のせいにしたり、原因究明のためにいくつも病院に行くなど、あまり深刻にならないことも大切と思います。無事に事故が解決しますと、事故によるストレスなどから解放されることで、だいぶ良くなることもあると思います。

 事故から一定期間が経ったときに、今後ある程度良くなりそうかどうか、医師の説明なども参考に考えてみて、あきらめずにある程度まで治す方向か、このまま良くなりそうもないのできちんと後遺症認定を受ける方向か、といった見通しをつけることも大切になることがあると思います。

 症状が思うように良くならない方は、むち打ち症は多くの人が治る一方で、適切な治療を受けても後遺症として残ってしまうことがある、ということを頭の隅に置いておかれるだけでも、多少は気持ちが楽になったり、医師の協力が得られて後遺障害認定にも結びつきやすくなることもあると思います。

 なお、整形外科的には問題ないとされるような場合でも、様々な症状が出ていてつらいときには、他の診療科(脳神経外科・眼科・耳鼻科・精神科など)の専門医のもとへ受診することが大切になることもあります。  

 (平成26年5月9日作成、令和5年7月26日改訂)

 

【取扱事例】

自転車同士の事故での頚椎捻挫について人身傷害保険から12級13号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・上肢痛等について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚部痛等について2回目の異議申立で自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫の症状について異時共同不法行為で自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・手のしびれ等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛、両上肢痺れ等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

 

【関連ページ】

◇治療先と後遺障害等級認定

◇むち打ち症(頚椎捻挫)治療時の医師のやりとりのポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の基礎知識

◇頚椎の経年性変化(加齢変化)の基礎知識

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◇バレー・ルー(バレリュー)症候群の基礎知識

◇むち打ちの治療費打ち切り

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◇むち打ち症(頚椎捻挫)が長期化する要因について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定と治療期間について 

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害請求のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)で様々な症状が現れる原因

むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害請求のポイント

 交通事故による自賠責保険の後遺障害等級認定実務は書面審査になりますので、保険会社に提出する診断書等医師の作成する書類の内容は特に重要になります。

 特にむち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害請求では、診断書等に後遺障害が認められにくくなるような記載がありますと、実際には事故の症状で苦しんでいる場合でも、自賠責保険の後遺障害として認められないことがあります。

 実際に事故の後遺症で苦しんでいる被害者の方からすると、揚げ足を取られているようにも感じられるかもしれませんが、特にむち打ち症では後遺障害請求をされる方が非常に多く、すべての方に対して後遺障害認定できないことが主な要因と考えられますので、出来るだけ不利な扱いを受けないようにする対応も大切になります。

 後遺障害が認められにくくなる主な所見や治療状況として、下記が挙げられます。

  • 後遺障害診断書の自覚症状が、痛みがあるのに「違和感」などと軽めに書かれている
  • 後遺障害診断書の予後所見が「回復の見込みあり」などと書かれている
  • 診断書の傷病名・症状が一貫していない(途中から新たな傷病名や症状が現れている場合など)
  • 診断書に、症状が軽減していることが書かれている
  • 治療先が接骨院中心になっている
  • 治療を受けていない期間が何ヶ月もある
  • 通院日数(通院頻度)が少ない

 

 上記のような不利な扱いを受けないようにするには、事故当初に受診した病院(整形外科)に通い続けることも方法の一つと思います。診察のときに医師の考えや説明内容等(むち打ち症に対する考え、画像所見、症状の見通し等)を覚えておくことも、医師に診断書作成等を依頼するときに役立つことがあります。

 また、事故後半年ほどの段階であまり症状が良くなりそうもなければ、治すための治療から後遺障害認定を意識した治療に考えを切り替えることも大切になるように思います。例えば、ご自身の希望する接骨院中心の治療(施術)は、治すのに適した治療と言えるかもしれませんが、後遺障害認定に有利になる治療とは言い難いです。

 このように、むち打ち症に限りませんが、被害者の方にとって有利になる可能性のある所見等だけでなく、不利になる可能性のある所見等を把握しておくことも、後遺障害請求や異議申し立てをするうえで大切になります。

 (平成26年5月20日作成、令和5年7月26日改訂)

 

【取扱事例】

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◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

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◇最近のむち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害認定の傾向

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◇むち打ち症(頚椎捻挫)が長期化する要因について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)が交通事故で問題になりやすい要因

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の治療のポイント

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の後遺障害回答文書の分析(非該当のケース)

 

頚椎の経年性変化(加齢変化)の基礎知識

 交通事故でむち打ち症(頚椎捻挫)の受傷をしたときに、事故前からの元々の頚椎の状態が、現れる症状の内容・程度・経過等に影響を与えることがあります。

 ここでは、頚椎の経年性変化(加齢変化)の基礎知識についてまとめています。

 

1.頚椎の経年性変化とは

 歳をとるとともに体には様々な変化が出てきますが、頚椎にも加齢による変化が現れます。頚椎の場合、椎間板(の中心部にある髄核)の水分の減少が老化現象の引き金となります。

 椎間板はこの水分の圧力によりショックアブソーバーの役割を果たしていますが、水分が減少するとバネの力が弱くなって椎間板(線維輪)に亀裂が生じ、上下の椎間の隙間を保てなくなり(椎間腔の減少)、そのために、頚が動くときに椎体のかみあわせ部分が擦れるようになり、その反応で擦れ合う場所などに骨の棘状の出っぱり(骨棘)が現れます。

 椎間腔の減少や骨棘は、神経根の通る椎間孔を狭くするため、神経根を圧迫することがあり、その程度が強いと神経根症状が現れます。また、椎骨動脈に血流不全を起こすこともあり、この場合には、めまい・耳鳴り・頭重感といったバレー・ルー(バレリュー)症候群の症状が現れることがあります。

2.頚椎の老化の生じる年齢

 椎間板の水分の減少は、25歳過ぎから生じてくると言われています。これより若い人でも、頚椎に大きな力がかかる仕事やスポーツ(ラグビーなど)をしているような場合には、老化が生じることがあります。

 

3.頚椎の老化の起こりやすい場所

 頚椎の老化は、頚椎がよく動くところが多く発生します。頚椎は第5頚椎と第6頚椎の間で最もよく動き、次に第6頚椎と第7頚椎の間、第4頚椎と第5頚椎の間で動くため、これらの場所で老化が多く現れます。

 

4.頚椎の老化の確認方法

 頚椎(椎間板)の老化の有無や程度は、レントゲン写真で確認できます。レントゲン写真には、椎間板自体は写らないため、骨と骨の配列の状態などを見ることで、椎間腔の減少、生理的前弯の異常頚椎不安定性骨棘などから、間接的に分かります。

 

5.事故と頚椎の老化との関係

 頚椎の老化のためにもともと神経や血管などが圧迫・損傷を受けやすい状態(元々圧迫していても無症状のことも少なくありません)で事故にあいますと、しびれなどの症状が現れてしまい、なかなか治りにくいことがあります。

 頚椎の老化が事故で現れた症状にどの程度影響しているのかの医学的な判断は、実際のところとても難しいと言われています。


6.  頚椎捻挫の後遺障害認定事例

自転車同士の事故での頚椎捻挫について人身傷害保険から12級13号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・上肢痛等について自賠責後遺障害併合12級が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

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頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

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頚椎捻挫の症状について異時共同不法行為で自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

◇頚椎捻挫後の頚部痛等について自賠責後遺障害14級9号が認定された事例

頚椎捻挫後の頚部痛・手のしびれ等について自賠責後遺障害非該当から14級9号に変更された事例

頚椎捻挫後の頚部痛、両上肢痺れ等について自賠責後遺障害非該当から14級に変更された事例

 

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◇首(頚椎)の構造 

◇むち打ち症(頚椎捻挫)の基礎知識

◇椎間板ヘルニア等による神経根症の基礎知識

◇むち打ち症・骨折等の治療の基礎知識

◇むち打ち症・脊髄損傷等の検査(画像・神経学的検査)の基礎知識

◇後遺障害等級認定のポイント  

◇むち打ち等による痛み・しびれ(軽度神経症状)の等級認定のポイント

◇むち打ちの治療費打ち切り

◇むち打ち症の他覚的所見(後遺症12級の要件)について

◇むち打ち症(頚椎捻挫)が長期化する要因について

むち打ち症(頚椎捻挫)と因果関係のある症状について

 交通事故でむち打ち症(頚椎捻挫)を受傷した後に、痛みだけでなく、痺れや耳鳴り、めまいなど様々な症状が現れてしまうことがあります。しかし、事故の後に現れた症状のすべてについて、事故によって生じたものとは認められない(事故との因果関係が認められない)ことがあります。

 事故との因果関係が認められない典型的な例として、事故からしばらく時間が経過してから症状が現れたケースが挙げられます。

 事故による怪我の場合、事故直後から24時間が損傷部位の状態は最も重症で、その後は少しずつ軽減していくと考えられています。このため、事故後しばらくしてから症状が現れた場合には、事故とは別の原因・要素が関与していると考えられてしまうことがあります。

 この「事故後しばらくしてから」というのは、例えば事故から1ヶ月後や2ヶ月後に症状が現れた場合には、事故との因果関係は認められないことが多いと思います。

 しかし、事故から1週間後くらいに現れた頚部由来の症状でしたら、医師によって見解が分かれてくることもあると思います。任意保険会社では多くの場合、1週間後くらいでしたら事故との因果関係を認めて治療費を支払うのではないかと思います。これに対して、自賠責保険の後遺障害認定では、事故から1週間後くらいに現れた症状の場合、事故との因果関係を認めないことが多いと思います。自賠責保険の後遺障害認定で因果関係を認めるのは、事故後2〜3日以内(教科書的には48時間以内)に現れた症状とかなり厳密に考えている印象があります。このため、任意保険会社が因果関係を認めた場合でも、自賠責保険の後遺障害認定では因果関係を認めないことがありますので、注意が必要になります。

 ただ、症状の出現時期は一般に、診断書や医療照会回答などの書面で確認しますので、医師がカルテを振り返って見たときに、誤解して記載していることもあり得ます。例えば、被害者の方が1週間前に症状が現れたことを医師に伝えたのに、1週間前でなく、医師に伝えた日を症状出現の日と記載していることもあり得ます。

 しびれ等の症状を裏付ける客観的な異常所見があり12級認定の可能性のある障害が残っているのに、症状出現の時期の記載のために事故との因果関係が認められず、自賠責保険の後遺障害として認められないこともあり得ます。

 このようなことを避けるため、ご通院先の医師には現れた症状の内容・程度だけでなく、症状が現れた時期も伝えることが大切になります(症状が多いときや不安なときには、メモにして渡してもよいと思います)。

(平成26年7月22日作成、令和5年7月26日改訂)


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◇後遺障害等級認定における症状の推移のポイント

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むち打ち症(頚椎捻挫)で様々な症状が現れる原因について

 交通事故でむち打ち症(頚椎捻挫)を受傷したときに、首の痛みのほかに様々な症状が現れてしまい、つらい思いをしていることについて周囲の人に理解されにくいことがあります。

 このように頚部への受傷で様々な症状が現れる原因について、首には頭部や上肢に行く重要な神経や血管が通っているため、と言われています。首の神経や血管に刺激・圧迫・損傷などを受けますと、その神経や血管が支配する領域すべてに関連する症状が現れてしまってもおかしくないということになります。

 特に自律神経の1つである交感神経は、身体への様々な刺激(温度、湿度などの環境の変化、肉体や精神の疲労によるストレスなど)に対して外界への対応を積極的に行うように諸臓器を活動させる神経で重要なものですが、首には交感神経の根元ともいう交感神経節がいくつもあり(これらのうち一番大きいものが星状神経節)、事故で交感神経に刺激等を受けますと、めまい、耳鳴り、難聴、眼の調節障害、かすれ声等の様々な症状が現れてしまうことがあり得ることになります。

 また、首を通る血管である椎骨動脈も、脳(小脳・脳幹部)を栄養する動脈の1つで重要なものですが、首の受傷により椎骨動脈が損傷・圧迫等を受け血流不全などになる場合にも、交感神経の異常と同じような様々な症状が現れることがあります。

 このように頚部への受傷では、首に重要な神経・血管があることにより様々な症状が現れることがあります。現れた症状については症状の出現時期とあわせて、できるだけすべて医師に伝えて(言葉で伝えづらいときはメモなどで)、耳や眼などの症状が続くようでしたら、耳鼻科医や眼科医などの各専門医に一度診ていただいた方がよいと思います。

(平成26年7月10日作成、令和5年7月26日改訂)


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